7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
そのまま奏弥は社長室へやって来た。
祥子がおかしなことを言いだした事を疾風に話した奏弥。
「そうだったのか。私の所にも来てね、奏弥とはずっと付き合ていたと話していた。会議中にやって来たから、おかしいと思っていたんだよ」
「全く驚いたよ。前からちょっと変な気はしていたけど」
「彼女に関しては、あまりよい噂を聞かない。噂を信じるわけではないが、ちょっと用心した方がいいな」
「ああ、分かったよ」
その後。
定時になり祥子は帰って行った。
奏弥は残業がある為まだ残って仕事をしていたが、今日は聖龍が宗田家で預かってもらっている事もあり早めに仕事を切り上げる準備をしていた。
18時を過ぎた頃に奏弥は退社した。
奏に電話して聖龍の様子を聞いてみると、熱も下がり元気になったと聞いて安心した。
そのまま宗田家へ向かう為、奏弥は駅前から歩いて住宅地へ向かっていた。
人通りの多い交差点から歩道橋へとやって来た奏弥。
反対側へ降りる為に階段を降りようとした奏弥の前に、不意に祥子が現れ声をかけてきた。
「副社長、今帰りですか? 」
定時で帰ったままの姿で現れた祥子。
まるで、奏弥が来るのを待っていたかのようにも見えるが、いつものニコニコとした笑顔を向けてくる。
「副社長、夕飯まだですよね? 一緒に食べませんか? 」
「すみません、今夜は実家に用事があるので」
「え? そなのですか? じゃあ、私も一緒に行っていいですか? 副社長との結婚報告を、ご両親にちゃんとできますから」
「末盛さん。その事は、全く違うって話しましたよね? 」
ニコっと満面の笑みを浮かべた祥子は、そのまま奏弥に歩み寄って来た。
「お昼間に社長にも言われました。結婚報告をするなら、2人で一緒に来てと。副社長は会議中でしたので、先に私一人で報告に行ったのですが。社長が言うと入りですよね、2人で結婚するのですから」
満面の笑みを浮かべたまま、祥子は奏弥の腕をギュッと掴んできた。
「お腹の赤ちゃんも、副社長と一緒に行きたいって言っていますよ」
どんどん話を進めて行く祥子に、奏弥は呆れてしまいどう答えていいのか分からなかった。
全く話が通じていないようで、勝手にストーリを作っている祥子には、何を言っても通じないようだ。
困った…どうしたら良いのだろう…。