7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
それから間もなくして、保育士が迎えにやって来た。
ロビーで待っていた聖龍と奏弥を見ると、迎えに来た保育士がびっくりしていた。
お父さんはいないと聞いていた保育士だが、聖龍と奏弥が並んでいるとそっくりで親子に間違いないと確信できる。
「すみませんでした。俺が入院しているので、心配で抜け出してきたようなのです」
「そうでしたか。この近くの公園に、園で遊びに来ていたのですが。聖龍君がいなくなったと聞いて、探していたのです」
「ご迷惑をおかけしました」
奏弥が謝ると聖龍もペコっと頭を下げた。
「無事でよかったわ。さぁ、戻りましょう」
手を差し出した保育士に士の手を握って、聖龍は一緒に戻って行った。
見来る奏弥は、なんとなく聖龍の後姿を見て寂しい気持ちを感じた。
遠く離れて行く聖龍を見ていると、何だか置いてゆかれるような気になる。
(お兄ちゃん、大丈夫? )
子供の頃、奏弥は良く夜中に高熱を出して病院へ連れて行かれることが多かった。
一緒に寝ていた翔次は、その度に起こされて心配そうに見ていた。
だが…翔次の目はどこか寂しそうな目をしていた。
このまま奏弥に会えなくなってしまうのではないかと、不安と淋しさに包まれた目をしていつも見ていた。
「…翔次もきっと、こんな気持ちで俺の事を見ていたんだろうな…」
聖龍の姿が見えなくなるまで見送った奏弥は、そのまま病室へ戻って行った。
しかし、この後、聖龍が保育園を抜け出して奏弥に会いに来ることが度々あった。
それは奏弥が退院するまで続いていた。