7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
「あら? 奏弥、どうしたの? 」
玄関に向かう奏弥を見て奏が声をかけた。
「ゴメン、ちょっと出てくるから」
何か慌てた様子で出かけて行った奏弥。
(空港に行って)
車に乗った奏弥に聞こえてきた声。
その声は翔次の声だった。
(空港に凜さんがいるから。…今度こそ、絶対に離してはいけないよ)
翔次の声に従って、奏弥はそのまま空港まで向かった。
(我がままを聞いてくれて有難う、兄貴。…僕は、ずっと兄貴が羨ましかった。…父さんと母さんを独り占めできるから…。僕が頭が良かったのは、それしかやる事がなくて。勉強を頑張る事で、父さんと母さんが僕を見てくれるから。…僕も病気になれば、父さんと母さんは僕を見てくれるのかな? って思っていたけど。…僕まで病気になったら、兄貴が辛いだろうと思ったから…)
車を走らせている奏弥の脳裏に聞こえてくる翔次の声。
「バカだな。俺は、お前が寂しそうな目をしているのを見るのが一番辛かった。…俺のせいで、お前がすごく傷ついているの分かっていたから…。俺がいるから、お前が辛い思をしているなら俺なんか消えてしまえばいいって本気で思った事もあった…」
(…僕は、兄貴に消えて欲しいなんて思った事は一度もないよ…。兄貴と双子で産まれてきたこと、本当に良かったって思っているから…)
「有難う翔次。…でもさ、お前だけ先に逝っちゃうなんて…悲しすぎるじゃないか。俺、まだまだ前と一緒にやりたいこと沢山あったのに…」
(ごめん…ずっと、僕は消えなくちゃいけないって思っていたから。自分で自分の事を、かなり痛めつけて来たんだと思う。僕も、もっと兄貴と一緒にいたかったよ…)
「翔次…。お前の愛している人を、俺が愛しても許してくれるか? 」
(もちろんだよ。僕は、兄貴が愛した凜さんを愛しているから…)
「有難う。…俺は、凜さんの心がまだお前に向いていたとしても。お前の事を愛している凜さんを、これからずっと愛して行くよ」
(それを聞いて安心したよ。…聖龍君は、僕にそっくりだからとても分かりやすいと思うよ。でもね、凜太郎君は凜さんにそっくりで。自分の気持ちを、なかなか口に出さないし表情にも出さないから)
「そうだな。俺と似ていて体が丈夫じゃないようだ。昔の俺を見ているようだよ」
(2人も、本当は兄貴をお父さんとして産まれたかったみたいなんだ)
「そうだってな。前に、聖龍君が言っていたよ」
(面白いね、子供って。過去の自分と同じだもん)
「ああ、そうだな。見ていると、楽しいよ」