7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
「凜さんが初めて僕の前に現れた時に、気づいたよ。とても痛々しくて、そんな手で拳銃をもっていると思ったら…胸が痛かった…」
「そんなところまで、見えたのですか? 」
「うん。たまたまだけどね、だから洗い物はしなくていいよって言ったんだ。でも良かった、綺麗な手に戻って」
「何かしたのですか? 」
「特別な事はしていないよ、ただハンドクリームを塗ってただけだよ。凜さんが寝た後に、こっそりとね」
「え? …」
寝顔見られていたの?
恥ずかしい…。
「ねぇ、凛さん。僕を殺そうとしているのは、頭の怪我が原因? 」
「違います! 」
ちょっと声を荒げて否定した凜が、じっと翔次を見つめた。
「…貴方が…私の姉を、弄んだから…」
「お姉さん? お姉さんって…誰? 」
誰? と尋ねた翔次の目が、メガネの奥でキリッときつくなったのを凜は感じた。
この目はあの駅前で、絡んでいた男の人を睨んだ目と同じ…。
「僕が凜さんのお姉さんを弄んだ、そう言いたいんだね? 」
「はい…」
「凜さんのお姉さんの、名前を教えてくれる? 僕が知っている人なのかどうか、知りたいんだ」
「…さやか…桐野宮さやかです…」
やっぱり…。
キッとなった翔次の目が、納得したように伏し目になった。
「その人は、確かに知っている。僕がお見合いした人だから」
「お見合い…」
「僕も年頃になって、そろそろ結婚して欲しいって両親が望むから。お見合いしたんだけど、その人とは随分と年が離れていて話した感じ合わなくてお断りしたんだけどね。…絶対に結婚すると決めていたようで、お見合いの席で新婚旅行はどこに行くかとか。明日からでも、一緒に暮らしても構わない今すぐにでも入籍してほしいとか。一方的に言われたけど、僕には受け入れる事はできなかった。…それに、その人は僕が本当にお見合いする相手じゃなかったからね」
どうゆう事?
驚いている凜に、翔次はそっと微笑んだ。
ギュッと凜の手を握った翔次は、いつものようにニコっと笑った。
「僕が本当にお見合いして、結婚したかった人は…。凜さんだから…」
私?
からかっているのかと思った凜だが、翔次の目はまっすぐで嘘は言っていないようだった。
「お見合いの日…。桐野宮家に行った僕は、凜さんに会う事がとても楽しみだった。でも実際に現れたのは…姉のさやかさんだった…。名前も年齢もごまかして、自分が凜ですと言っていた。…お見合いまで写真を見せてもらえなかったけど、僕はずっと凜さんを感じていたからすぐに判ったんだ。だからあの日…僕は凜さんをみつけた…」