7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
「初めまして、桐野宮凜です」
甲高い声で、気持ち悪い笑みを浮かべた女性に翔次はゾッとした。
「翔次さんにお会いするのを、楽しみにしていました。結婚は勿論大歓迎ですわ。私、将来は社長夫人になるのですね。ワクワクするわぁ。あ! 新婚旅行はどちらにします? 私、世界一周なんかいいと思うんです。旅行中に子供が出来て、海外で出産なんてことになったら素敵だわ! 」
咳を切ったように一人で喋り始めたさやかに、翔次は特に表情を変えることなく黙って聞いているだけだった。
その後もさやかは一人で盛り上がっていたが、翔次は聞く事にも疲れてしまい、お手洗いを借りると言って席を立った。
そのまま翔次は庭に出て来た。
桐野宮家はわりと広い一軒家で、家の大きさは80坪以上はありそうで、庭も広く屋根がついた選択干し場があり、ちょっとした木々が植えてあり綺麗な花壇も作られている。
見渡しが良い庭に、翔次はホッとさせられていた。
そんな時。
何故か不意に翔次は、庭に置いてある物置に目がとまった。
茶色いシンプルな扉つきの物置。
特に何か変わているような事もなさそうなのに、物置を見ていると翔次はズキンと胸に痛みを感じた。
この痛みは何か呼ばれているような気がする…。
そう思った翔次はそのまま物置へと歩み寄って行った。
すると、物置の扉から何か衣類のような布がはみ出ているのが目にとまった。
掃除道具にしては違うような気がする…。
翔次はそっと物置の扉を開けてみた。
すると!
扉を開けると、ドサッと誰かが倒れて来た!
驚いた翔次だったが、倒れて来たのはとても綺麗な金色の髪をした女性だった。
その女性は頭から血を流していて、真っ青な顔をしていた。
「あ、あの。大丈夫ですか? 」
翔次が声をかけるとうっすらと目を開けた女性。
意識がもうろうとしている目で翔次を見た女性は、力を振り絞ったような笑みを浮かべた。
「…凜です…私…」
力尽きる声で名乗った女性は、そのまま意識を失った。
翔次は来ていたジャケットを脱いで、女性の頭を止血して、そのまま抱きかかえて車庫へ向かった。
車庫では運転手が車の中で待っていた。
血相を変えて走って来る翔次を見て、運転手が車から降りてきた。
「すみません、この方を病院へ運んで下さい。大怪我をしています。金奈総合病院へお願いします。僕が連絡を入れておきますので」
「分かりました」
運転手は女性を乗せて、そのまま金奈総合病院へと向かった。
「あの人が凜さん…僕が思った通りの人だった…」
見送った翔次は、そのまま中へ戻った。