7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
翔次が戻ってくると、まださやかは一人で話を盛り上げていた。
「あら、翔次さんお帰りなさい。今ね、お父様とお母様に子供は何人くらい欲しいのか聞いていたのよ」
笑いかけてくるさやかに、翔次は冷めた目を向けた。
「大変申し訳ございませんが、このお話はお断りさせて頂きます」
え?
さやかの顔が引きつった。
幸治も友里も顔を見合わせたが、やはりそう来たかと思っていた。
「翔次、どうしたのだ? お会いする前から、結婚を決めていると言っていなかったか? 」
疾風がそう言うと、翔次は口元で小さく笑った。
「はい。僕は、凛さんと結婚する気で今日は来ました。でも…この人は、凛さんじゃありません! 」
さやかは焦った表情に変わったが、作り笑いを浮かべてごまかした。
「何を言っているの? 私は凜よ、写真を見ていないから信じられないだけよね? 」
「いいえ。僕は、写真が無くてもお相手がどんな人なのかは分かります。貴女は凜さんじゃない! 僕は、嘘をついて人を欺く人と結婚する気はありません」
「欺く? 私が貴方を騙したと言うの? 」
「そうです。貴女は凜さんじゃない。凜さんのふりをして、僕と結婚しようとしている。これが騙した事にならず、何になるのですか? 」
さやかは何も言い返せなくなり、悔しそうな目を浮かべて黙ってしまった。
「桐野宮さんは、親御さんとして。凜さんのふりをして、別の人と僕とお見合いをさせて、どう思われているのでしょうか? このまま結婚が決まってしまったら、どうされるおつもりなのでしょうか? 本当の凜さんは…どうしていらっしゃるのですか? 」
幸治も友里も何も言い返すことが出来ず、黙って俯いてしまった。
「…僕は、凜さんとの結婚の意志は変わりません。…ですが、目の前にいるこの人とは結婚しません! 」
きっぱりと言われ、さやかは苦虫でも噛んだような顔をしていた。
「本日はこれで失礼します。後日改めて、凛さんに会わせて頂ける日をお待ちしております」
それだけ言うと、翔次は去って行った。
疾風と奏も翔次に続いて去って行った。
「なんなの? あの態度! 」
さやかは自分のやった事を棚に上げ激怒し始めた。