7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
背中の秘密
ふと目を覚ました翔次。
まだ外は暗いようだ。
腕の中で眠っている凜に目をやると、寝顔を見るだけで愛しさを感じた。
だが、凛の肩や胸についている跡を見ると、ちょっとやりすぎてしまったかもしれないと恥ずかしい気持ちが込みあがった。
翔次が寝顔を見ていると、うつらうつらと目を覚ました凜。
ぼんやりと辺りを見ていた凜は、目の前に翔次の逞しい胸が見えると頬を赤くした。
「凜さん。今、とっても幸せだよ」
「私も…」
素直に答えた凜を、翔次はそっと抱きしめた。
「僕は、ずっと両親に歯向かって生きて来たんだ。…双子の兄貴が病弱で、同じ日に産まれた僕より兄貴にばかり目がいてっていて。僕の話を聞いてくれなかった事が多くてね、次第に悪い連中と絡むようになり表向きは良い子を演じていたけど。裏ではとんでもない事をしていたよ。そう言っても、弱い者いじめをする奴等をやっつけていただけなんだけどね」
ああ…それで、あの駅前で絡んでいた男にも怯む事が無かったんだ。
ギュッと抱きしめてくれている翔次の腕を感じると、凛は納得できる。
日頃はナヨっとして頼りなさそうに見えるが、体つきはガッシリして鍛えているような感じがする。
ちょっと痩せ気味ではあるが、手の感覚も厚みがありそんじゃそこらの力ではビクともしないようだ。
もしかして日頃は、わざと弱々しく見せているのだろうか?
「大学を卒業する頃には、兄貴もすっかり元気になり自分の道へ進んで行ったから僕は家を出て行ったんだけど。すぐに探し出されてしまったけど…。父さんが、真っ青な顔をして現れた時はさすがに胸が痛んだよ」
翔次は大学を卒業すると同時に、黙って家を出て行った。
財閥と呼ばれるほどのお金持ちである宗田家には、お手伝いと運転手がいて、家もお屋敷と言うに相応しいくらい広くで周りからも驚かれるほどだった。
兄の奏弥は、子供の頃から良く熱を出して寝込む事が多く心臓も弱く発作を起こしたり倒れてしまう事も多く、疾風も奏も奏弥に着きっきりだった。
翔次は状況を把握していて、我がままを言ってはいけないと思いずっと我慢ばかりしていた。
しかし、大切な話を話したくても疾風も奏も奏弥に付きっ切りな事が多く話は聞いてもらえない状態でいつも一人で抱え込んでいた。