7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

 翔次を支えたまま疾風が電話に出た。

「はい、副社長室です」
(あの、副社長にお客様がいらしていたのですが。林さんが、酷い事を言って追い返してしまったのです)
「お客様とは誰なんだ? 」
(はい、とても綺麗な女性の方でした。何か、お届けに来て下さったようで)
「今はどこに? 」
(たった今帰られたのですが)
「分かった」

 電話を切った疾風は、翔次を椅子に座らせた。

「いいか翔次。そのまま絶対に動くな! 無理に病院に連れて行ったりしないから。じっとしているんだ」

 それだけ言うと、疾風は副社長室を出て行った。


 疾風がいなくなると、翔次は一息ついて虚ろな目で天井を見上げた。
「…思ったより…早く逝っちゃうようだね。…早くアレを届けてあげないと…」
 
 ピピッ…。
 翔次の携帯電話が鳴った。

 デスクの上にある携帯電話に手を伸ばした翔次は、着信番号を確認した。

 番号を見ると知らない番号からだった。

「はい…」
 翔次が電話に出ると、向こうから女性の声でクスッと笑い声が聞こえた。
(もしもし? 私が誰だか判る? )
 
 声を聞くと翔次はゾッとした。
 その声には確かに聞き覚えがある。

(どう? 今の生活は、恐怖に満ち溢れているんじゃなくて? )

 声の主はさやかだった。
 
(あの子は手ぬるいけど、私には逆らえないの。悪いけど、あんたは確実に殺されるわ。私を弄んだ罪は、その程度じゃないけどね)

 翔次はフッと小さく笑った。

「殺したいなら、殺せばいい」
(ん? 居直るのかしら? )
「死ぬ事は怖くない。もう、とっくに覚悟している。ただ…僕は、無駄死にはしない」
(なんですって? )
「あんたがした事を、明るみにしてやる。今まで、どれだけの人を殺してきたのか。看護師と言う立場を利用して何をして来たのか、全てを暴露してやる」
(なにを言っているの? そんな証拠があるって言うの? ばかげているわ)
「アンタに話しても無駄だ。ただこれだけは言っておくが、アンタは自分で自分を不幸にしているだけだ」
(はぁ? )
「アンタは自分で不幸を好んでいるだけだ、それを人のせいにしている。だが、そんなアンタを見捨てない人が唯一いた。…その人を、アンタは深く傷つけている。それを、僕は許さない」
(何を言っているの? )
「いずれ分かる。もういい、好きにすればいい」

 翔次は電話を切った。

 ため息をついて、再び椅子に座った翔次は遠い目を浮かべた。
「…凜さん…。僕は、凜さんを幸せにしたいから…」
 視界がぼやけて来て、段々を辺りが見えなくなるのを翔次は感じた。
「僕が全部持ってゆく…。もう…苦しくないから…」

 ガチャッ。
 副社長室のドアが開いた時、翔次は椅子から落ちて床に倒れこんだ。

「翔次! 」

 戻って来た疾風が翔次の傍に駆け寄った。

 疾風の後ろから入って来た凜がいた。

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