7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
秘密の小瓶は希望の光
「初めまして凜さん。お父さんに似ているので、もしかしてと思いました」
父と似ている? そんなこと言われた事ないけど。
ずっとどちらにも似ていないって言われていたから。
「お見合いの件で、お詫びが遅れて申し訳ございません」
深く頭を下げて来た疾風に、凛はそっと首を振った。
「いえ…お詫びをするのは、こちらの方だと思います。…」
「そんな事ありません。でも、嬉しいです凜さんにお会いできて」
「申し訳ございません。ちょっと、怪我をしてしまったので」
「お怪我ですか? もう大丈夫なのですか? 」
「はい、完治しておりますので」
「それは良かったです」
ふと、凛が手に持っているお弁当に気づいた疾風。
「あの、もしかして翔次にお弁当を持って来てくれたのですか? 」
「いえ…その…」
ほんのり頬を赤くした凜を見て、疾風はピンと気づいた。
「一緒に来て下さい。翔次が喜びますから」
「いえ、結構です」
「そんな事を言わないで下さい。翔次は、凛さんの事が好きなのですから」
そっと凜の手を握って疾風は歩き出した。
まるで親に手を引いてもらっているような気持になった凜だが、悪いにはしなかった。
そのまま疾風と一緒に社長室まで来た凜だった。
血相を変えて翔次に駆け寄った疾風を見て、凜はお弁当をギュッと握りしめた。
間もなくして救急車が到着した。
何が起こったのかと社員達が騒然となって、窓から覗いていた。
担架で運ばれてゆく翔次を見て、驚きの声が響いていた。
「副社長、どうかしたの? 」
「最近、随分痩せたような気がしていたけど」
「どこか悪いかったのかしら? 」
翔次が救急車に乗せられると、凛が一緒に付き添って乗って行った。
疾風は後から駆けつける事にして、とりあえず騒然とした社内を落ち着かせ、受け付け嬢である亜紀に処罰を与える事を先にする事にした。