7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

「凜さん。もう、自分の事を責めたりしないで。何も悪くないから、大丈夫だよ。起こってしまった出来事は、何も意味はないと僕は思っている。ただ、そうなっただけ。結果がそうであっても、凜さんは最後まで全力を尽くしたと僕は思うから。ちゃんと許してあげて、自分の事を」

 自分を許す…。
 そうか、私が一番許せないのは自分の事なのかもしれない…。

 
 コンコン。

 ノックの音がして、ハッとなった凜は翔次から離れた。

 ガチャッとドアを開けて入って来たのは、奏弥だった。

 仕事の帰りに急いできたのか、スーツ姿だが額に汗がにじんでいる。

「翔次…大丈夫か? 」

 涙ぐんだような目をして、奏弥は翔次に歩み寄って来た。

「兄貴、大丈夫だよ。心配かけてゴメン」
「謝るなよ。父さんが連絡してきて、びっくりしたよ」

「もう大丈夫だから、安心して」
「しばらくゆっくりしろ、頑張りすぎているんだ」

「もう十分ゆっくりしたから、明日には返してもらうよ」
「何を言う! お前、大切な人がいるんだろう? もっと自分大切にしろよ! 」

 大切な人がいると言われると、翔次の目が悲しげに曇った。

「俺、ずっと身体弱かったから分かるんだ。もう無理はするな、お前が無理すると傍にいる大切な人が悲しむだろう? 縛り付ける事はしないが、もっと頼て良いんだぜ」
「…有難う、兄貴」

 ブーッ…
 凛の携帯が鳴った。

「ちょっと電話してきます」

 携帯電話をもって、凜は病室から出て行った。

「兄貴、頼みがあるんだけど」
「なんだ? 」
「僕の鞄の中に、兄貴が用意してくれたアレが入っているから。凜さんのご両親に、投与してほしいんだ」
「それは構わないが、ICUに入っているからな。まぁ、なんとかなるけど」
「頼むよ。一刻も早く楽にしてあげたいから」
「そうだな。さやかの容疑も、固まって来たから時間の問題だ」

 フッと一息ついた翔次。
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