7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
「僕にできる事を精一杯してあげたいから…」
「その気持ち、俺にもよく分かるよ」
え?
と、奏弥を見上げた翔次。
奏弥はちょっと痛い笑みを浮かべていた。
「俺も…彼女が好きだったから…」
「兄貴も? 」
「俺なんか、弱い人間だし。いつ倒れるか判らないから、人なんか好きになってはいけないって思い込んでいたけど。彼女を見た時、胸がキュンと鳴ってずっと傍で見ていたいと思ったから…」
そうか…。
それで、凛さんを見る兄貴の目が愛しそうに見えたのか。
無事でよかったって言った時、目が潤んでいたから何かあるって思ったけど。
どうやら奏弥と翔次は、タイミングは全く違うが同じ人を好きになってしまったようだ。
「あ、だが今は何とも思っていないから。俺の事は、気にする事はないからな」
焦ったように否定する奏弥を見ると、翔次はちょっとだけ笑えた。
電話を得た凜が病室に戻って来た。
「じゃあ、俺は帰るから。どちらにしても、無理はするなよ」
「ああ、分かったよ」
去って行く奏弥を、凛は目で追って気にしていた。
奏弥は何も変わらないような顔をして去って行ったが、あえてそうしているようにも見えた。
その後。
翔次が医師に交渉して、今週はどうしてもやらなくてはならない仕事がある為、入院はできない事を話し、どうしても入院が必要であれば来週から入院させてほしいと話した。
仕事よりも命を優先するべきと言われたが、このまま翔次を病院へ縛り付けておくのも酷い話しと思われ来週からの入院と言う事で許可を出した。
ただし、決して無理をしない事と仕事は定時で帰る事を約束させられた。
今夜は一晩だけ病院で様子を見る事になった翔次。
付き添いは必要ないと言われ、凛は一人リッチ―ルヒルズへ帰る事にした。
奏弥は翔次から頼まれたアレを使う為に、一人の看護師に依頼をした。
その看護師はかつて、奏弥が引き受けた案件の依頼人でもある人でさやかの情報をくれた一人でもある。
誰もいない物陰で、奏弥は看護師に小瓶を渡した。
「これを注射してくれれば、最短で数時間後、遅くても翌日には症状が改善される」
「分かりました。さやかは、現在ICUには近づけない状態になっていますからご安心を」
小瓶を受け取り、看護師は去って行った。