7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
愛と愛憎
深夜を回った丑三つ時。
懐中電灯を持って、看護師が循環にやって来た。
病室でぐっすりと眠っている翔次の下に、音をたてないように静かに入って来た看護師がいた。
懐中電灯ではなくペンライトのような、小さな灯りを手にしている看護師は、そーっと翔次に近づいてきた。
ぐっすりと眠っている翔次は、看護師に気づかないまま眠っている。
眠っている翔次に近づいて来た看護師が、窓から差してくる薄明かりに照らされて姿が露になった。
その看護師はさやかだった。
「いいタイミングで、入院してくれたのね。まるで生贄だわ」
不敵に笑ったさやかは、翔次の腕をまくって注射器を取り出した。
ニヤッと笑って翔次の腕に注射をしたさやか。
「今日は特別、たっぷりと愛憎を注いでおいたから。明日の夜には自然死ね。凜が手こずっているから、ちょうど良かったわ。私を愛さなかったこと、あの世で後悔するのね」
不敵に笑いながら、さやかはそのまま去って行った。
さやかが去った後。
ベッドの下から奏弥が出てきた。
「やっぱりあの女きやがったな…」
パチッと目を覚ました翔次。
「大丈夫か? 翔次」
「ああ、大丈夫だよ」
注射をうたれた腕には…
ダミーのカバーがあてられていて、防御されていた。
「こっちはバッチリ録画で来たから、安心しろ」
デジカメを片手に奏弥が自信満々に言った。
「これで、あの人は確実に逮捕されるから。凜さんのご両親は? 」
「大丈夫だ。解毒剤を注射したと、連絡があった。数日後には回復するよ」
「よかった」
「安心して寝てろ。俺が朝までいるから」
「うん…」
翔次は再び眠りに着いた。
奏弥は付き添い用の簡易ベッドに横になり、そのまま休む事にした。
翌日。
いつも通りの日々が始まる。
昨日の一件で受付にいた亜紀は退職になり、来なくなった。
亜紀は時折り意味のない嘘をついて、他の社員も困らせていた。