7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
病室の窓からその様子を見ていた翔次と奏弥がいた。
「やっと逮捕されたな。俺も、あの女に殺されそうになったから安心した」
「桐野宮さんも助かったようだし、よかった本当に」
「次は、お前が元気になる番だぞ翔次」
「…うん…」
奏弥はまだ翔次が余命宣告を受けている事を知らなかった。
軽い肺炎だと聞かされていただけだったのだ。
「ねぇ兄貴。凜さんとは、仕事で一緒だったんだよね? 」
「あ、ああ」
「そっか。じゃあ、僕が知らない凜さんの事を知っているんだね」
窓の外を見ている翔次の目が寂しげに揺れていた。
「翔次、もう気にするなよ。あれから3年も経過しているし、俺はなんとも思っていないから」
「そうじゃなくて、仕事の時の凜さんってどんな感じなのかな? って思っただけだよ」
「仕事の彼女は、人を寄せ付けない感じが強くていつも一人でいる事が多かったよ。うちの事務所は、若い弁護士が多かったから、気を使っていたのかもしれない」
「そうなんだ。その癖は、今でも変わらないのかもしれない。僕にだって、心を許してくれない感じだったから」
「そうか。あの姉貴がいたんじゃそうなるかもしれないな」
2人が話していると、奏と一緒に凜がやって来た。
「おはよう、翔次。具合はどう? 」
奏に尋ねられると、翔次はちょっとシレっとした目を浮かべた。
「別に、大したことないから。もう、退院だし」
素っ気なく答える翔次に、奏はやれやれと思った。
「ねぇ、翔次。どうして、こんなに素敵な彼女がいるならちゃんと紹介してくれないの? 」
「紹介って…。元々、お見合いする人だったから。知っていると思ったから」
「そうだけど、それならそれで。本当にお見合いする人に会った事を、教えてくれたらよかったじゃないの」
「…そう…」
素っ気なく答えた翔次は、荷物をまとめ始めた。
「全く、相変わらずね。そんな事じゃ、凜さんに嫌われてしまうわよ」
翔次がまとめていた荷物をそっと取って、奏が綺麗にたたんで鞄の中にしまい始めた。
「そんな事は自分でやるから…」
「何を言っているの、病気の時くらい甘えなさいよ。…何もしてあげられなかったから、今しかしてあげられないでしょう? 」
そう言われると、翔次はまた複雑そうな目をしてシレっと顔を背けた。
そんな翔次を見ていた凜は、何となく自分と重なって見えた。