7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

 凜も仕事が忙しくあまり家にいなかった幸治と友里に、素直になれなかった。
 さやかの事もちゃんと話したくても、話も聞いてもらえない状況でずっと何も言えなかった。

 怪我をした時に、血相をかえて駆けつけてきた幸治と友里だったが素直になれず口をきく事も出来なかった。
 その時に幸治が「何もしてあげられなくて、すまなかったな」と、申し訳ない顔をして凜に謝って来た。
 それは初めて凜が見た幸治の父親の顔だった。

 何も知らないくせに謝って来たと思ったが、幸治は全てを知っていたようだった。
 ご近所から、さやかが凜に酷い事をしていると聞いていたようだ。
 それにいくら隠していても、凛の腕や見えない身体の部分に痣がついていたり酷い手荒れをしている姿を見てただ事ではないと判断していた。
 それ故に、さやかの養女縁組を解消したと言っていた。

 怪我が治り退院しても、幸治も友里も忙しく家にいないのは変わらず、さやかが家事を押し付けて寒くてもお湯を使う事は許さないと言って冷たい水で食器を洗ったり、お風呂も追い炊きは許さないと言って冷めたお湯の中に入っていた。

 さやかに翔次を殺すように命じられた時。
 凛の中では幸治と友里を助けたい気持ちよりも、この辛い状況から抜け出せるほうが強かったのかもしれないと今は思う。

「ねぇ、翔次。週末はお仕事休みでしょう? 凛さんを連れて、家に来てくれない? 」

 荷物をまとめ終わった奏が言った。
 
 週末。
 その時は既に凜と過ごせる日々も終わり、約束通り計画を実行する時。

「考えておく…」
 ボソッと答えた翔次。

 そんな翔次を見ていると、凛も辛くなった。

 遠目で見ていた奏弥は、凛の辛そうな目を見ていると何故か自分の胸も痛みを感じた。
 翔次にはもうなんとも思っていないと、ハッキリ言った奏弥だが…まだ凜への想いを捨てきれない自分がいるようだ。

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