7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
いつもより遅れて出勤してきた翔次は、昨日途中で中断した仕事の続きから始めていた。
仕事をしているときに疾風が来て、やりかけだった仕事で書類もバラバラだったが、誰かが綺麗にまとめてくれていた。
パソコンはそのままロックがかかった状態だったが、他の部署へ届ける書類も届けられていた。
疾風がやってくれたのだろうか? と、翔次は思っていた。
コンコン。
「失礼します」
他の部署から女子社員が書類を届けにやって来た。
「副社長、これご確認いただいて印鑑をお願いします」
書類をデスクの上に置いた女子社員を、チラッと見た翔次。
「わかりました」
パソコンから目を離そうとしないで、そのまま返事をした翔次。
書類を入れるケースには、他の部署へ持ってゆく書類がサインをしておいてあるのが目に入った女子社員。
「副社長、こちらの書類は他の部署へ届けておきますね」
「いいえ、結構です。後から、自分で持ってゆきますから」
「そうやって、一人で抱え込まないで下さい副社長」
言いながら書類を手にした女子社員。
翔次は手を止めて女子社員を見た。
「少しは、私達社員を信頼して下さい。みんな、副社長の事を心配しているのですよ。頼りないって、バカにしている女子社員もいますが。それはほんの一部の人ですよ、みんな副社長が本当はとっても強い人だって知っていますから」
「そんな事ありません…」
「強くない人が、こんなに仕事を抱えて耐えられると思いますか? 一人で頑張っているのは、何か理由があるんじゃないかってみんな言っています。無理しないで下さい、昨日のように副社長に倒れられたら大変なのですからね」
それだけ言うと、女子社員は書類を持って副社長室を出て行った。
「…僕がいなくなったら、困るの? …でも僕は…」
寂しげな目を浮かべた翔次は、少しだけ目を潤ませていた。
それから間もなくして、お昼休憩になった。
いつも翔次はランチテリアに行って、隅の方で一人でお弁当を食べている。
今日もいつも通り端っこで一人、お弁当を広げて食べていた。
食欲はあまりないが、今日のお弁当は凜が作ってくれたお弁当でそれが嬉しくいつもより何となく食欲がわいていた。
男性だけど翔次はゆっくり食事をする。
よく噛んで味わってだいたい20分ほどかけて食べている。