7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
金奈総合病院に来る前、国立病院で勤務していたさやかは患者に謝って薬を渡す問題を起こして退職に追い込まれた。
その時、患者側の家族から多額の慰謝料請求が行われたが、病院側はさやか個人の責任にかぶせた。
その尻拭いを幸治が全て行ったが、さやかは反省する事もなく「死ななかったのだから、いいじゃない」と開き直っていた。
その態度で幸治は、さやかの養女縁組を解消する決意をした。
合意しないさやかに対して、合法的手段をとり養女縁組解消を行った幸治だったが、さやかは一向に家から出て行こうとしないまま凜のふりをして翔次とお見合いをした事から養女縁組を解消したことから出て行ってくれと言われ、これ以上居座るなら法的手段に出ると言われた事から飲み物に毒を盛ったとみなされている。
さやかは「勝手に養女にしておきながら、自分達の本当の子供ができると見向きもしてくれなくなった」と言っている。
平等に育てて来たが、さやか自身が嫉妬深く思い込みも激しい事から自分の事を拒絶する者は容赦なく殺す方向へ向いてしまったようだ。
取り調べの中、さやかは妹の凜が宗田翔次を殺す為に拳銃を持っていると話し始めた。
「私は止めだのです。妹の凜は、宗田さんと私がお見合いをする事を快く思っていなくて。私と宗田さんがお見合いして、結婚が決まったって話をすると「殺してやる! 」と言って、どこからか拳銃を持ってきて飛び出してゆきました。それから行くへ不明です」
自分が命令しておきながら、さやかは全て凜にかぶせようとしているようだ。
その夜。
翔次は仕事から帰って来ると、入籍が成立した事を凜に伝えた。
「今日、仕事に行く前に届けを出してきたから。凜さんは宗田凜になったよ、おめでとう」
「有難うございます…」
お祝いとして2号ケーキを買って来た翔次が、2人で一緒に切ろうと言って包丁で一緒にケーキカットをした。
シンプルなイチゴのケーキだが、2人にピッタリで綺麗にカットできた。
「あと2日だけど。何も心配しなくていいからね」
いつものようにニコっと笑った翔次。
この笑顔は、あの屋上で出会った時と同じだった。
「あの、今日病院から連絡があって。父と母がICUから一般病棟へ移ったと連絡が入りました」
「そうなんだ、それはよかったね」
「はい、姉が特製の毒を使ったと言っていたので。どんな解毒剤も効果が無いと言われていたのですが、本当に良かったです」
「じゃあ、もうご両親の事は心配いらないね」
「はい。面会が出来るようになったら、報告に行こうと思っています」
「それがいいね」
ニコニコと変わらず話してくれる翔次を見ていると、凛は心から幸せを感じる。
だが同時に罪悪感も感じていた。
さやかに脅されていたとは言え、翔次に銃口を向けて殺そうとしたのは事実。
このままこの人の優しさに甘えている事は許されない筈…。
怪我をして失っていた記憶も徐々に戻ってきている。
この人の残りの時間を一緒に過ごすに相応しいのは、やはり本当の家族だと思う。
嬉しそうな翔次を見ながら、凜はそう思っていた。