7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
翔次はそのまま出勤して行った。
今日は週末だが、早く帰って来るからと言ってくれた。
だが凜は…
食卓の上にそっと、翔次宛ての置手紙を置いた凜は、ずっと隠し持っていた拳銃を鞄に閉まった。
「これでいい…。真実から目を背けないのは、私の仕事だから」
置手紙を置いた凜は、そのまま出て行ってしまった。
リッチ―ルヒルズを後にした凜は、そのまま金奈警察署へやってきた。
姉のさやかが逮捕され、翔次殺害計画も白状している事だろう。
どんな形であっても拳銃で人を殺そうとしたことは事実。
その事実から目を背けて生きてはゆけない。
そう思った凜は自主する事にした。
隠し持っていた拳銃を持って、警察署へやって来た凜。
さやかが凜が翔次を殺す為に、拳銃を持って逃げていると話していた事から警察も凜に事情を聞こうとしていたところだった。
さやかから渡された拳銃を警察に渡した凜は、素直に父と母を人質のようにとられていていう事を聞かないと父と母を毒殺すると脅されていた事を話した。
姉であるさやかはずっと、凛に虐待のような事をしていた事も話した。
凛の話を聞きながら拳銃を調べた刑事がやって来た。
男性刑事でいかつい顔をしている刑事が、凛をじっと見て来た。
「あんた、弁護士だったろ? 」
突然聞かれて凜は驚いた。
「見覚えがある。法廷で、被告人が自殺して傍聴席で被害者の姉が同じ毒薬を服して自殺した。あの時の担当弁護士が、確かアンタだったな」
「…はい…」
「そっか。だから、正義感が強いのか。それ故に、ご両親を人質のようにとられてしまっては。姉貴の言いなりになるしかないよな」
「はい…」
刑事はクスッと笑った。
「もういい、アンタは無罪だよ」
「え? 」
「持って来た拳銃。アレはおもちゃだ」
「おもちゃ? 」
「ああ、子供が使うおもちゃ。あんなのでは、人は殺せないよ」
「そんな事…」
確かにあの時、拳銃の中に玉も入っていたのに…どうゆう事?
困惑している凜に、刑事はそっと笑いかけた。
「アンタはあのさやかとは、全く真逆だな。宗田翔次さんも、アンタに殺されそうになった事はないと言っている。ただ、彼女になってほしいとお願いして7日だけ一緒にいてもらっていただけだと言っているよ」
どうしてそこまで、私の事を庇ってくれるの?
犯した罪は変わらないから刑を受ける覚悟で来たのに…。
結局、自首してきた凜だったが単なる子供の痴話げんかと同じで事件にはならないと言われそのまま返されてしまった。
複雑な気持ちのまま警察署を出て来た凜。
時刻は17時を指そうとしていた。
そろそろ翔次が仕事を終えて帰ってくる時間だ。
まだ、あの食卓の上に置かれた手紙は読まれていないだろう。
ゆっくりと凜は歩き出した。