7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
「待って! 桐野宮さん! 」
奏弥の声が聞こえても、凛は足を止めようとしなかった。
「待ってよ! 」
駆け寄て来た奏弥は、凜の肩を掴んで引きとめた。
が…
ズキン! と、痛みを感じてそっと胸を押さえた。
ん? と、顔だけ振り向いた凜だったが、胸を押さえている奏弥を見ると驚いてそのまま振り向いた。
「どうしたんですか? 」
「あ…ごめん、何でもないから…」
とは言うものの、奏弥は真っ青な顔をしていた。
凜はじっと奏弥の様子を見ていた。
「ごめんなさい。…追いかけて来たのに、こんな姿見せてしまって…」
「いえ。どこか、悪いのですか? 」
「いや…。俺、小さな頃から心臓が弱いから倒れてばかりだったんだけど。…医師からは成人まで生きていられないって、言われていたと聞いているけど。…未だに生きているんだ…」
「未だに生きているなんて、そんな言い方はしないで下さい」
呼吸を整えて、奏弥は小さく笑いを浮かべた。
「すみません。…これでも、随分と元気になって。走れるようにもなったけど、今日は色んなことが重なってしまったから久しぶりに痛みを感じただけなので。心配しないで下さい」
心配しないで下さいと奏弥に言われると、凜はずっと前にも同じ事を言われたような気がした。
「あの。これからも、会ってくれませんか? 俺と」
「え? 」
「だって…翔次が心から愛した人だから、これからは俺が大切にしたいと思うから…」
「私は翔次さんを、死なせてしまいした。本当は、約束の日が過ぎたら私は自首していなくなろうと思っていました。でも、こんな形になってしまうなんて…」
「桐野宮さんが死なせたわけじゃないから。これは、翔次が決めた事。だから、自分の事を責めたりしないで下さい」
そう言われても凜は納得できなかった。
「凜さんは、翔次の忘れ形見の様な人だから。父と母も、この先も一緒にいて欲しいと望んでいると思います」
ギュッと拳を握りしめた凜。
その手は微かに震えていた…。
その震えに気づいた奏弥は、そっと凜の手を握った。
どうして握ってくれるの?
そう思った凜が、そっと奏弥を見上げた。
奏弥は黙って凜を見つめていた。
翔次とは違うタイプで、奏弥はどちらかと言えば俺様のようなタイプに見える。
兄弟でありながら苗字が違う事から、凛は全く気付かなかった。
でも…手を握られると、ずっと前にも同じように感じたことがある温もりだと凜は思った。
「桐野宮さんとまた出会えて、俺は嬉しいです。だから…また会って下さい。友達としてで、構いませんから。そして、父と母にも会ってあげて下さい」
頑なに拒否したかった凜だったが、奏弥の手のぬくもりを感じるとそこまで意地を張る事ができなくなり、小さく頷いた。
小さく頷いた凜をみて奏弥はホッとした。