7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
リビングの棚の上に翔次の写真を置いた奏は、グッと想いが込みあがって来て葬儀では泣かなかったのに今更ながら涙が出てきたようだ。
「ほんとに…翔次はバカな子だったわ。素直に甘えればよかったのよ、忙しくても奏弥に手がかかっても構わないから…」
泣きながら翔次の写真に語り掛ける奏を、疾風がそっと支えた。
「…翔次は、私に似ているから。周りを気遣って、我慢してしまうんだな。翔次の気持ちは誰よりも分かっていると思っていたが。自分の見たくない部分を、翔次に重ねてしまい見ないふりをしていたようだね。…病気の事を医師に聞いたが、相当苦しかったと思う。救急車で運ばれた時は、余命宣告を受けていたそうだ。…それでも、凜さんに出会って本気の恋をしたんだと思う」
「そうね。お見合いの時だって、写真を見ていないのに「この人と結婚します」って言っていたくらいだったもの」
ソファーに座った疾風と奏は、一息ついた。
「凜さんの事、これからどうするつもり? 」
「翔次と入籍していて、宗田家の一員だから。できる限りの事をするつもりだ」
「そうね。でも、凛さんまだ若いから。子供もいないし、このままこの家に引き留めておくことは酷なんじゃないかしら? 」
「ああ、だが翔次が遺言で。自分が受け継ぐ財産は全て、凜さんに譲ると残している。保険にも入っていて、保険金の受取人も凜さんになっているんだ」
「そう…。とっても愛していたのね、凜さんの事」
リビングの外で疾風と奏の話を聞いていた奏弥がいた。
「…ほんと、かっこつけすぎ。…凜さんの心には、すっかり翔次が住み着いて誰も入る余地はないじゃん…」
そう呟きながら奏弥は自分の部屋に戻って行った。
部屋に戻って来た奏弥は、窓際に歩み寄り椅子に腰かけるとジャケットの内ポケットからキラッと光る金色のネックレスを取り出した。
細いチェーンのネックレスには、綺麗な小さなダイヤがついている。
「…ずっと、3年もの間持っているけど。失くしたこと、気が付いていないのかな? 」
窓から差し込んでくる月の光に照らされたダイヤが、綺麗な虹色の光を放っている。
「このネックレスを手にしてから、俺なんだかすぐく元気になているんだよな。発作もなくなったし、定期健診でも問題ないって言われるようになって…」
ギュッとネックレスを握りしめた奏弥。
「あの時、俺はそれほど酔っていなかったから。覚えているけど…彼女は覚えていないんだよね…」
キュンと込みあがって来る想い…。
それは、奏弥が今でも秘めている事。