7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
「俺、送りますから。家はどこですか? 」
「構わないで下さい」
「そんなことできません! 」
フラフラな足取りで突き放そうとする凜を、奏弥はギュッと抱きしめた。
奏弥に抱きしめられると、凛は驚いてハッと目を見開いた。
「…好きです。…貴女のことが、ずっと入社してきた頃から見ていました。…突き放されても、この気持ちがブレる事が無くて。嫌われてもいいから、ずっと好きでいようって決めました。…」
好き? こんな私を?
「か…からかているんでしょう? 私が、こんなおばさんだから! 」
抱きしめている奏弥を突き放そうとした凜だったが、ギュッと強く抱きしめられていて突き放すことが出来なかった。
「からかってなんてません! それに俺、桐野宮さんの事ずっと同じくらいだって思っていました。年上だと知ったのは、最近の事です」
「…なんで? みんな、私の事…」
「みんな、桐野宮さんの事を気にしています。女子はみんな、嫉妬しているようです。でも俺、初めてなです。人を好きになったのは」
トクン…トクン…。
抱きしめられている胸の中で、奏弥に鼓動を感じた凜。
そん鼓動は、ちょっと弱々しい感じがするがとても繊細でそれでいて優しかった。
「俺。小さい頃から病弱で、心臓が弱くて成人するまで生きていられないかもしれないって医師から言われていました」
「え? 」
奏弥の腕の中でそっと見上げた凜。
「俺が弱かったから、一緒に産まれて来た双子弟には随分と悲しい思いばかりさせてきました。俺に手がかかる事で、弟は両親に頼りたくても頼れなくて。病気で苦しくても、言えない日々を過ごしていました。…いつも申し訳ないって…俺なんかさっさと死んでしまえばいいのにって、自分を責めていました。でも、そんな俺に弟は「一緒に産まれて来てくれて嬉しい」って言ってくれました。…その言葉を聞いて…それだけを糧に、俺は生きてきたようなものです。…成人してもまだ生きてる事に、自分でも不思議でした。…でも…桐野宮さんに出会ってから、とっても元気になれて自分で驚いています。ちょっと走れば苦しくなって、長い距離歩けば倒れそうになるばかりだったけど。…今はそんな事もなく、走っても平気になりました。だから俺思ったんです。…俺が生きているのは、きっと、桐野宮さんと出会う為なんだって…」
そんな事…
凜はギュッと奏弥にしがみついた。
「好きでいさせて下さい…迷惑はかけません。近づくなと言うなら、近づきませんから」
「そんなこと言っていません。…私なんて…誰かを好きなる事も、恋する事もしてはいけないって…そう思っていたから…」
そっと体を話して奏弥を見上げた凜。
その目は潤んでいて、今にも泣きそうな目をしていた。