7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
疾風の向かい側にいたのは、4年経った凜だった。
4年前よりほっそりとして、髪も綺麗に長くなり、表情も穏やかで優しくなっている。
ジャケットの左側の襟元に弁護士のバッジがついている所を見ると、仕事に復帰しているようだ。
「…私はもう、宗田家とは無縁の人間です。…どうか、他を探して下さい…」
「悪いが、凜さんの籍は抜いていないよ」
「でも…」
コツン…コツン…。
足音が近づいて来て、凛はハッとなった。
「どうかしたの? 父さん」
奏弥の声に、凛は息を呑んだ。
「奏弥、ちょうど良かった。探していた凜さんに、やっと会えたんだ。それで、我が社の顧問弁護士になってほしいとお願いしている所なんだ」
「そう言えば、我が社の顧問弁護士さん。もう年齢的にも、そろそろ辞めたいって話していたね」
「ああ。偶然駅前で凛さんに会って、現役の弁護士として働いているようだから。ちょっと無理言って、来てもらったんだ」
「そうだったんだ」
奏弥は凜に歩み寄って行った。
「あの、俺からもお願いします。どうか、我が社の顧問弁護士になって下さい」
「無理です。…私、弁護士でも国選弁護人ですから。とても、大手企業様の顧問など勤まりません」
「大丈夫ですよ。分からない事があれば、俺が教えますから」
「いえ…そんな…」
「また会えたのは、きっと運命ですよ。翔次が、引き合わせてくれたのだと思います」
困ってしまった凜だが、断り切れなくなってしまった。
「…少し考えさせて下さい。…」
仕方なくそう返事をした凜。
「前向きに考えてほしい。いつでも、連絡待っているから」
疾風がそう言うと、凛はこくりと頷いた
とりあえず今日の所は考えさせてもらうと言って、凛はそのまま去って行った。
「すごい偶然だね父さん。ずっと、探していたのに見つからないままだったからびっくりしたよ」
「ああ、私も驚いたよ。ちょと早く出勤してきたら偶然、凜さんに会えたんだ」
「でもホッとした。凜さん、また弁護士に戻っていたから」
「そうだね」
疾風と奏弥は、話しながらエレベーター前に歩いて行った。