7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
間近で見ると小さいのに綺麗な顔立ちをしている。
まるで、どこかの国の皇子様のような気品が備わった顔立ちを見ていると、翔次を思い出した。
ブルーの園服を着ていて、名札がついていた。
(そうだ・せいりゅう)
と書いてある名前を見て、奏弥は驚いた。
「こ・こんにちは」
奏弥はニコっと笑った。
「…パパ…」
小さな可愛い声で「パパ」と言われて、奏弥は胸がキュンとなった。
「僕…パパを選んで産まれてきたのに…。どうして、ママと一緒にいないの? 」
なにを言いってるのだろうか? と、一瞬思った奏弥だが。
男の子の目はとても真剣で、妄想を話しているようには見えなかった。
「聖流(せいりゅう)君! 」
後ろから保育士が走ってきた。
「だめじゃないの、一人で離れちゃったら」
ひょいと保育士に抱き上げられると、聖龍はじっと奏弥を見つめたまま黙っていた。
「すみませんでした、ご迷惑をおかけしました」
ペコっと頭を下げた保育士。
「あの、この子は宗田と言う苗字なのですね? 名札に書いてありました」
「はぁ、そうですが」
「自分も宗田です」
奏弥は名刺を保育士に渡した。
名刺を受け取ると、保育士はびっくりした目をした。
「え? 同じ宗田さん。しかも、あの宗田ホールディングの副社長さんなのですね」
「はい。この子を見て驚きました。亡くなった弟に似ているので」
「この子のお父さんは、病気で亡くなっていると聞いています。今は、お母さん一人で育てていらっしゃるようです」
「え? …」
「お母さんは弁護士さんで、忙しくて。いつも、お爺ちゃんが迎えに来てくれています」
「そうなのですね」
じっと見つめている聖龍は、何か奏弥に目で訴えているように見えた。
「…パパ…。一緒にいてくれないなら、嫌い! 」
プイッと、そっぽを向いた聖龍。
「すみません、失礼しますね」
保育士に抱っこされて、去って行く聖龍はじっと奏弥を見ていた。
「あの子は…凜さんが産んだ子供? もしかして…あの時、これなかったのは…」
去り行く聖龍を見ながら、奏弥は4年前の事を思い出した。
4年前。
奏弥はアメリカに旅立つとき、凛に一緒に来てほしいと言った。
迷いのある凜だったが、もう一度弁護士へ復帰する為に国際弁護士になりたいと話してきた。
その為に奏弥と一緒にアメリカに行くと言ってくれた。
しかし。
待ち合わせ時刻になっても凜が現れる事はなかった。
気持ちが変わってしまったのだと、奏弥は諦めてそのまま一人でアメリカへと旅立った。
ずっと音信不通で、再会した凜は弁護士として復帰していた。