7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

 お昼を済ませて奏弥が副社長室へ戻ってくると。

「なんだ? これ」

 デスクの上にいっぱいの赤いバラの花が一面に置かれているのが目に入り、奏弥は驚くよりも気持ち悪さを感じた。
 
 バラの花は生け花で花の部分だけ切られていて、デスクから溢れるほど広げられおかれている。
 しかも赤いバラの花ばかりで、匂いもきつく漂っている。


「あら、奏弥さんお帰りなさい」

 祥子が戻って来てご機嫌な声で声をかけて来た。
 
 名前で呼ばれた事で、奏弥は嫌な感じを受け取った。

「奏弥さん、気に入ってくれた? その赤いバラは、私の愛の気持ちよ」
「どうゆうつもりですか? こんな事をされては仕事ができません」
「しごとなら、ここでやればいいじゃない」

 自分のデスクを指して祥子が言った。

「末盛さん、ここは仕事をする場所です。市場を持ち込む場所ではないので、今後はこのような事はやめて下さい」

 デスクに歩み寄り、奏弥はバラの花を袋の中に入れてデスクの上を綺麗にし始めた。

「奏弥さん」

 バラの花をかたずけている奏弥の手を、ギュッと握ってきた祥子。
 その手はとても冷たく、ゾッとするくらいだった。

「奏弥さん、私達愛し合っているじゃないですか」
「はぁ? なにをいっているのですか? 」
「だって、奏弥さん。ずっと、誰とも付き合っていないんでしょう? それって、私の事を待っていたからなのよね? 」
「なにをいいだのですか? そんなこと、末盛さんには関係ない事です」
「じゃあどうして? 誰とも交際しないで、ずっと独身でいるの? 」

 奏弥はそっと祥子の手を振り払った。

「…俺は、病弱なんです。小さい頃から、心臓が弱くていつ死ぬか判らないと言われています。なので、誰とも交際もしませんし結婚もしません」
「まぁ…そんな事があったの? それなら、父に頼んで腕利きの医師を紹介するわ。有名な心臓外科医なら、奏弥さんの病気なんてあっと言う間に治してくれるわよ。そうしたら、私と気兼ねなくずっと一緒にいてくれるでしょう? 」

 まったくこの人は、人の話を聞いていないのか理解していないのか? 自分の都合がいいようにしか捉えない。
 何を話しても無駄なようだな。

「ご心配には及びません。担当医師がいますので、任せていますから」
「そう…。大変だけど、もう大丈夫よ」

 ギュッと奏弥の背中に抱き着いて来た祥子。
「私が護ってあげるから。だから安心して」

 抱き着かれた背中がゾッとした奏弥。
< 98 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop