7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…


 その後はデスクの上のバラをかたずけて、暫くパソコン仕事をしあと、奏弥は会議がある為会議室へ向かった。

 
 奏弥が会議室へ向かっていない間、祥子はずっと奏弥の座っている椅子に頬を摺り寄せていた。
「奏弥さん…。私が護ってあげる…」
 頬を摺り寄せ何度も椅子に唇を擦り付けて、キスを繰り返している祥子。
 自分だけの世界で誰の言葉も聞き入れず、勝手に事を進めている祥子は、一人で幸せな世界に浸っている。
 
 祥子に関しては何年か一度に、問題が発生していたが、その度にもみ消されていた。
 関わった者は行くへ不明になったり、不審死をしている事が多い。
 しかし、いずれも祥子は何も関わっていない形で終わっていた。

 奏弥の秘書になってから、祥子は真面目に仕事をしているように見えたが、何度かお見合いをしても結婚が成立しなかったと耳にしている。

 

 夕刻になり。
 
 奏弥はちょっと残業をして18時に退社した。
 祥子は先に帰ったようでいなかった。

 エントラスに降りてきた奏弥に、女子社員が声をかけて来た。

「副社長お疲れ様です」

 可愛らしい顔立ちのメガネをかけた女子社員。
 穏やかな声は癒し系のように感じる。

「お疲れ様です。今まで残業していたのですか? 」
「はい、ちょっとやり直していた作業があったので」
「そうだったのですね」
「副社長、最近イキイキしていますね。やはり、末盛さんと一緒に暮らし始めたからですか? 」
「え? 」

 なにを言い出すのかと驚いた奏弥に、女子社員はきょんとなった。

「末盛さんと一緒いくらしているのですよね? 今日のお昼に、末盛さんが話していたと聞きましたよ」
「いえ、そんな事はありません。末盛さんとは、仕事以外の関りはありませんので」
「そうなんですか? すごく幸せそうな顔をして、お弁当を2人分食べながら話していたと聞きましたよ」

 なんだそれは…。
 妄想にしてはかなり行き過ぎている。

「それは事実ではありませんので、気にしないで下さい」
「そうですか、分かりました。でも、副社長はどうして誰とも付き合わないのですか? 」
「仕事が忙しいので、恋愛に興味がないだけです」
「そうなんですか」

 奏弥と女子社員が話している姿を、遠目で見ている祥子がいた。

「あの女、奏弥さんのストーカーね。早めに始末しておかないと、奏弥さんの身体に響くわ」

 じっと女子社員を見ている祥子の目は、明らかに嫉妬に満ちていた。

 祥子に見られているとは気が付かないまま、奏弥と女子社員はそのまま話ながら歩いていた。


< 99 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop