病室の彼女(1)
「ちょっと慧斗くん聞いてるの!?」

怒るように声をかける。

「え?あぁ…すいません」

「何が気になるの?…あぁその子ね。」

そこに居たのは隣のベットに座っている
ある1人の少女だった。

「この子はもうここ2年くらい入院してるわね。」

「2年も…」

「まぁ丁度いいわ、紹介するわね」

「野々宮さん!ちょっといい?」

「え…はい」

「今日から隣に入院することになった湊本慧斗くん!」

「…」

無関心そうにベットへ戻る野々宮。

「あらら…」

「…」

何故か無性に腹が立った。

せっかく話せる人が出来るチャンスだったのに無視かよ。

その途端何かがプツンと切れた。

もういい。
あーあ。入院なんてするんじゃなかったよ。胃腸炎だなんて恥ずかしいし…
神様はいつまでも俺に意地悪だな。

「まぁ…一応紹介するわね、彼女は野々宮詩音(ののみやしのん)ちゃん!引っ込み思案な性格でいつも本を読んでいるわ。良かったら話してみてね!」

話すもんか。一生無視だ無視!

今日から俺の孤独な入院生活が始まる…
はずだった。
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