男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
(いや、尊敬しているから治療係を盗られたくない、んだよね?)
「はい、エリオ、口を開けてください」
楽しそうな声に、思考が飛ぶ。
そもそもこの公爵家嫡男様は、恥ずかしくないんだろうか。
空気が読めていない男みたいな構図だと思いながら、ジークハルトを見つめ返す。席に戻ったフィサリウスとハロルドも含め、すごく見られている。
「……あの、今更なのですが、この体勢だとどうにも恥ずかし――」
「変更は無理です。ほら、あなたの好きなチョコケーキですよ」
「…………いただきます」
悩んだ末、目の前で誘われたら食わずにいられずぱくりと口にした。
ルディオが背を向けて「そこで食うのかよ……!」と小さく呻いていた。ハロルドも毒気が抜かれた顔をしていた。
(仕方がない。欲望には勝てない)
エリザは、緊張の糸が切れたみたいに笑い出したフィサリウスに恥ずかしさが増すのを感じながら、結局一切れ分のケーキをジークハルトに世話された。
「はい、エリオ、口を開けてください」
楽しそうな声に、思考が飛ぶ。
そもそもこの公爵家嫡男様は、恥ずかしくないんだろうか。
空気が読めていない男みたいな構図だと思いながら、ジークハルトを見つめ返す。席に戻ったフィサリウスとハロルドも含め、すごく見られている。
「……あの、今更なのですが、この体勢だとどうにも恥ずかし――」
「変更は無理です。ほら、あなたの好きなチョコケーキですよ」
「…………いただきます」
悩んだ末、目の前で誘われたら食わずにいられずぱくりと口にした。
ルディオが背を向けて「そこで食うのかよ……!」と小さく呻いていた。ハロルドも毒気が抜かれた顔をしていた。
(仕方がない。欲望には勝てない)
エリザは、緊張の糸が切れたみたいに笑い出したフィサリウスに恥ずかしさが増すのを感じながら、結局一切れ分のケーキをジークハルトに世話された。