男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
マクガーレン隊長というのは、女性騎士隊長様だ。近衛騎士隊の中でも権力を持った幹部の一人で、第一近衛騎士隊の副隊長内定者であるはずのジークハルトが、普段は代理を立てて逃げ回っているとハロルドから相談を受けた。
そこでエリザは、ハロルドと共に会議に参加することを彼の今日の課題としたのだ。
昨日それを提案した時、ジークハルトはぐっと言葉を詰まらせた。しかし覚悟を決めたような顔で会議の参加を約束した。
(慕い過ぎなのでは……? 不思議だけど、出会ってから泣き言は聞いても彼「やれない」とか「やりたくない」と拒絶は一度もしてこないんだよね……)
ジークハルトと再び王宮にいたエリザは、これも呪いか、と考えてしまう。
「エリオ?」
「えっ、あ、はい、なんでしょう?」
「それではご褒美をください」
「……そう、でしたね。うん『ご褒美』ですね」
美しい成人男性に、にこにこと手を差し出されてエリザは少し反応に遅れてしまった。
(これは……早めに解決した方がいいかも)
彼の印象を悪くしてモテ度を下げてしまったら大変申し訳なさすぎる。女性に対して恐怖を抱く呪いを受けているはずの彼が、安心しきった顔でエリザの手から飴玉を取るのを、彼女は悩み込んだ顔で見つめてしまう。
ジークハルトが懐いているのは『呪い』が、エリザの聖女の血で彼女にだけ無効化されるせいだ。解放感があって安心するのだろう。
しかし彼は、エリザより一つ年上の十九歳だ。
その年齢なら、彼女が欲しいとか、女性に触れてみたいとか……とにかくそういう気持ちがあったとしてもおかしくない。
(いやそんなこと私も考えたくないけど、飴玉大好きって可愛すぎか!)
とにかく、飴玉一つでやる気になっている構図は、よろしくない気がするのだ。
そこでエリザは、ハロルドと共に会議に参加することを彼の今日の課題としたのだ。
昨日それを提案した時、ジークハルトはぐっと言葉を詰まらせた。しかし覚悟を決めたような顔で会議の参加を約束した。
(慕い過ぎなのでは……? 不思議だけど、出会ってから泣き言は聞いても彼「やれない」とか「やりたくない」と拒絶は一度もしてこないんだよね……)
ジークハルトと再び王宮にいたエリザは、これも呪いか、と考えてしまう。
「エリオ?」
「えっ、あ、はい、なんでしょう?」
「それではご褒美をください」
「……そう、でしたね。うん『ご褒美』ですね」
美しい成人男性に、にこにこと手を差し出されてエリザは少し反応に遅れてしまった。
(これは……早めに解決した方がいいかも)
彼の印象を悪くしてモテ度を下げてしまったら大変申し訳なさすぎる。女性に対して恐怖を抱く呪いを受けているはずの彼が、安心しきった顔でエリザの手から飴玉を取るのを、彼女は悩み込んだ顔で見つめてしまう。
ジークハルトが懐いているのは『呪い』が、エリザの聖女の血で彼女にだけ無効化されるせいだ。解放感があって安心するのだろう。
しかし彼は、エリザより一つ年上の十九歳だ。
その年齢なら、彼女が欲しいとか、女性に触れてみたいとか……とにかくそういう気持ちがあったとしてもおかしくない。
(いやそんなこと私も考えたくないけど、飴玉大好きって可愛すぎか!)
とにかく、飴玉一つでやる気になっている構図は、よろしくない気がするのだ。