男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
ラドフォード公爵から招待されている旨だけが伝えられ、エリザはわけが分からないまま、兵士の一人に手を取られて森を歩き出た。
道路には、その場所に不似合いな高級馬車が停められていた。
エリザはエスコートされて乗せられ、豪華な馬車の中で茫然としている間に、王都に入り城のような公爵邸に到着したのだ。
(なぜ、私が指名されたのだろう?)
公爵家という重い肩書きに頭を悩ませていると、と、伯爵家であるルディオの存在が脳裏をよぎった。
そういえば、彼の幼馴染は公爵家の嫡男だと言っていた。
(――まさか)
ようやくそう思い至った時、人の気配がしてびくっとした。
先程のセバスチャンに導かれ、一人の恰幅がいい中年の男がやって来た。後ろからメイド達が紅茶の乗ったワゴンを押して続く。
「待たせてすまないね。私は、ラドフォード公爵、ラドック・ラドフォードだ」
眉がやや下がった、優しげな雰囲気の顔立ちをしていた。
エリザが想像していたような、プライドの高い怖い貴族という感じはなかった。
道路には、その場所に不似合いな高級馬車が停められていた。
エリザはエスコートされて乗せられ、豪華な馬車の中で茫然としている間に、王都に入り城のような公爵邸に到着したのだ。
(なぜ、私が指名されたのだろう?)
公爵家という重い肩書きに頭を悩ませていると、と、伯爵家であるルディオの存在が脳裏をよぎった。
そういえば、彼の幼馴染は公爵家の嫡男だと言っていた。
(――まさか)
ようやくそう思い至った時、人の気配がしてびくっとした。
先程のセバスチャンに導かれ、一人の恰幅がいい中年の男がやって来た。後ろからメイド達が紅茶の乗ったワゴンを押して続く。
「待たせてすまないね。私は、ラドフォード公爵、ラドック・ラドフォードだ」
眉がやや下がった、優しげな雰囲気の顔立ちをしていた。
エリザが想像していたような、プライドの高い怖い貴族という感じはなかった。