男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
(試しに一回合わないと侯爵様、納得しそうになかったしな)
面倒事は回避したい思いから、溜息がこぼれた。
怪力の指輪があるので、ひとまず形だけの拳を作り、できるだけ力を入れないよう配慮して扉を叩いた。
「お初にお目にかかります。【赤い魔法使い】のエリオと申します。本日の面会にまいりました」
男性名で、活動用に使っている偽名の『エリオ』を名乗る。
しかし問い掛けてみたものの、部屋の中で人の動く気配はない。
(奥にでも立てこもられたんじゃない?)
もしやと思って、ドアノブを掴んで回してみた。
隣でルディオがぎょっとした直後、鍵がかかっている音が上がった。
(このヤロー……面談時間を伝えられておいてこの対応する?)
エリザの中で苛立ちが積もった。
「ジークハルト様? いらっしゃるんでしょう。鍵を開けてくださいませんか?」
「…………メイドは、いませんか」
不意に、扉越しに美声が聞こえてエリザは硬直した。
すぐそこにずっと立っていたようだ。
面倒事は回避したい思いから、溜息がこぼれた。
怪力の指輪があるので、ひとまず形だけの拳を作り、できるだけ力を入れないよう配慮して扉を叩いた。
「お初にお目にかかります。【赤い魔法使い】のエリオと申します。本日の面会にまいりました」
男性名で、活動用に使っている偽名の『エリオ』を名乗る。
しかし問い掛けてみたものの、部屋の中で人の動く気配はない。
(奥にでも立てこもられたんじゃない?)
もしやと思って、ドアノブを掴んで回してみた。
隣でルディオがぎょっとした直後、鍵がかかっている音が上がった。
(このヤロー……面談時間を伝えられておいてこの対応する?)
エリザの中で苛立ちが積もった。
「ジークハルト様? いらっしゃるんでしょう。鍵を開けてくださいませんか?」
「…………メイドは、いませんか」
不意に、扉越しに美声が聞こえてエリザは硬直した。
すぐそこにずっと立っていたようだ。