男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
 感情が爆発した時には、ルディオが同僚と抑えにかかっても無理だとは聞いた。

(とすると……根性の問題かな?)

 エリザは、扉をすぐに開けてもらえなかったことから失礼にもそう思う。

 もう何も怖がる必要はないのに、幼少のトラウマで『自分には無理だ』と思っているのか。

 だとするのなら、それを乗り越えれば問題ない気がした。

(それが成功していないから、私にまで回ってきたみたいだけれど)

 正直に言うと、面倒臭い。

 エリザは、向かいで小さく震えている美貌の騎士様を見つめた。将来に響くような失態をさせるなとルディオが付けられていることを考えると、そこには巻き込まれたくないと思う。

(いや、私は専門家でも魔法使いでもないから分析なんてできないし。できるのは話をするくらいであって、この一回会うだけでいいわけで)

 ひとまず、今のところジークハルトが〝診察の面談〟から逃げ出すような気配はない。
< 47 / 392 >

この作品をシェア

pagetop