男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
「お話を聞く限り、改善したいという言葉を彼からは聞くことができませんでした。聞いていた通り、とにかく怖がっているのは感じました」
「君としては、息子はどの方法が一番適していると思った?」
「蕁麻疹などの症状がどれくらい出るのか実際に見ていって、少しずつ慣れていってもらい恐怖を克服する方向がいいかな、と思います。次の治療係に診せる際の、参考にしてもらえれば光栄です」

 専門家ではないので半ば勘になるが、ジークハルトの状態に合わせて、多少の無理をさせつつも、二人三脚でやっていけるタイプの治療係が適任だろうとアドバイスした。

 ヘタレなので、少々荒技も必要だろうと思えた。

(この公爵様、息子にすごい甘い感じがするんだよな……)

 ジークハルトの様子からすると、同性の心強い専門家が適任だろう。性的な悩みもあるだろうし、そこは女性のエリザには対応できない。

 一通り話したあと、そんなことを考えていたエリザは、ふと、向かい側が静かなままであることに気付く。
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