男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
次の治療係が探される間までの短い期間なので、就任初日にジークハルトの女性恐怖症の症状を見られるのは有り難い。
(うん。フォローはしよう)
心の中で、隣をあるくイケメンに合掌する。
一階の使用人側の廊下を進むと、部屋の一室から時事長は出てきた。
「わたくしは侍女長を務めさせていただいております、モニカと申しますわ」
きっちり指を揃えて前で組み、彼女は見本のような挨拶をした。
年齢は四十代後半ほどで、ブラウンの髪をしっかり結い上げていた。笑みを浮かべると、厳しい印象のある顔も途端に華やかさが加わる。
けれどエリザは、彼女を見て「あ」と思った。
(扉の隙間から覗き見て『おいたわしい』と涙ぐんでいた人だ……)
先日、ラドフォード公爵と始めて対面した際に覗き見ていた光景が蘇る。おかげで緊張感は激減した。
「初めまして、この国では【赤い魔法使い】と呼ばれています。私のことは、どうぞ〝エリオ〟とお呼びください」
(うん。フォローはしよう)
心の中で、隣をあるくイケメンに合掌する。
一階の使用人側の廊下を進むと、部屋の一室から時事長は出てきた。
「わたくしは侍女長を務めさせていただいております、モニカと申しますわ」
きっちり指を揃えて前で組み、彼女は見本のような挨拶をした。
年齢は四十代後半ほどで、ブラウンの髪をしっかり結い上げていた。笑みを浮かべると、厳しい印象のある顔も途端に華やかさが加わる。
けれどエリザは、彼女を見て「あ」と思った。
(扉の隙間から覗き見て『おいたわしい』と涙ぐんでいた人だ……)
先日、ラドフォード公爵と始めて対面した際に覗き見ていた光景が蘇る。おかげで緊張感は激減した。
「初めまして、この国では【赤い魔法使い】と呼ばれています。私のことは、どうぞ〝エリオ〟とお呼びください」