男装魔法使い、女性恐怖症の公爵令息様の治療係に任命される
これまで、どの治療係でも改善させることができなかった。
「次の治療係に繋げられるように、少しはお力になれるよう努力したいと思います」
それが、エリザがここ数日で固めた気持ちだった。
なってしまったものは仕方がないし、と衣食住付きで本読み放題という破格の雇用条件だ。受けた恩は返そうと思う。
すると、ラドフォード公爵が思わずといった様子で微笑んだ。
「君は欲がないね。律儀な性格のようでますます頼もしいよ」
「仕事は、私がよければいいというものではないですから」
そうかそうかと、彼は不安もなくなってくれたように頷いた。
「考えてみると、この舞踏会は新しい治療係のお披露目にもなるね」
公爵家嫡男様の、専属の治療係。
大袈裟に『お披露目』なんて言われると、普段外から賑わいを眺めているだけのエリザには重い役目だ。
(想像したら緊張してきた……胃に穴が開きそうだ)
せっかく安心してくれたラドフォード公爵には言わないことにして、エリザは曖昧に笑って書斎を出た。
「次の治療係に繋げられるように、少しはお力になれるよう努力したいと思います」
それが、エリザがここ数日で固めた気持ちだった。
なってしまったものは仕方がないし、と衣食住付きで本読み放題という破格の雇用条件だ。受けた恩は返そうと思う。
すると、ラドフォード公爵が思わずといった様子で微笑んだ。
「君は欲がないね。律儀な性格のようでますます頼もしいよ」
「仕事は、私がよければいいというものではないですから」
そうかそうかと、彼は不安もなくなってくれたように頷いた。
「考えてみると、この舞踏会は新しい治療係のお披露目にもなるね」
公爵家嫡男様の、専属の治療係。
大袈裟に『お披露目』なんて言われると、普段外から賑わいを眺めているだけのエリザには重い役目だ。
(想像したら緊張してきた……胃に穴が開きそうだ)
せっかく安心してくれたラドフォード公爵には言わないことにして、エリザは曖昧に笑って書斎を出た。