【短】甘く溺れるように殺される。
"秘密"を共有することで、そんな幻想的な愛情にただただ勝手に燃えて、一人で自分を傷付ける、そんな毎日…。
ーーーーいっそ、このまま殺められたいーーー
そんな事さえも思う、危うげな綱の上を命綱も無く歩く私。
私は、貴方と同じ夢なんて見られない。
どんなに願っても、祈っても…。
だから、ベッドの中で乱れ散る私の肢体を、快楽に震える肌を惜しむ事なく、彼へと差し出すだけ…。
その他に、捧げられる物なんて、何も無いから。
私の心も身体も、擦り切れて涸れていくくらい愛すと決めた、何度もやってくる絶頂間際の刹那の時間。
愛してるから、止められない。
傷付けられるのが怖いから、全てを曝け出して丸腰のまま、彼の胸の中に飛び込むしかないんだ…。
私の事をあくまでも、操り人形の様に愛でて、自分の思い通りにさせたい、彼は悪い男。
でも、そんな如何しょうもない男が愛しくて恋しくて仕方がない、駄目な女は私でしかなくて…。
「逢うの、憂鬱だな…」
ぽつり
口の端から零れた言葉は、自分の心とはまるで違っていて、空笑いをオフィスの床に沈めた。