幼馴染くんの好きな人は私でした。
「大丈夫!予約の時間までには間に合う!」
朝、和菓子屋さんに電話する日比人の声がうっすらと聞こえた。電話、苦手なはずなのに。
人見知り幼馴染の勇気を、無駄にするわけにはいくまい。
そう思ってからすぐ決めた服を笑顔付きで日比人に見せてみる。
「花がどんな服着たって、どんな化粧したって、可愛いし好きだよ」
「……は」
「俺の為に可愛くなりたいんなら大歓迎。時間いっぱい悩んだらいい」
笑顔なんてすぐに壊れて、頬は真っ赤に染まる。満足したように笑って去っていく彼が残したのは、ちょこっとの甘い匂い。
このままこのドキドキが一生止まらなかったらどうしよう。
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「栗まんじゅう!いちご大福!ひび、あのまあるいのなんだろう」
「羊羹って書いてある」
「マカロンにあんこ入ってるよ…」
ショーケースに入った和菓子を選んで、奥のテーブルに座る。私が頼んだものよりも少数の和菓子を置くのを見てハッとした。
そういえば日比人、甘いもの苦手じゃなかった?!