幼馴染くんの好きな人は私でした。
ガシャーン!
「し、失礼いたしました!」
「平野(ひらの)さん!素手で触らない!」
家からすぐのファミレスのバイト中。
夏休みなのに楽しい色は一色も無くて、バイトか課題か。友達と遊ぶ時間もないほどにシフトを入れてしまったのは、来月に日比斗の誕生日があるから。
クーラーが効いているはずの店内が異常に暑くて、眩しい太陽から目を背けて控え室に入った。
「あ、花ちゃん!今日はどうしたの?なんだか花ちゃんが別人みたい…あれ?大丈夫!?」
「…あ、はは、大丈夫。ひよちゃんも休憩なんだね、お疲れ様〜」
今朝のことを思い出すとどうしても慌てて今日は二枚お皿を割って、グラスのお水を溢れるほど入れたり、お会計の桁をひとつ間違えて。
彼女にそう不思議がられても、何らおかしくはない。
「お疲れさま」と可愛い笑顔を浮かべるのは、同じ高校三年生の小松 妃依(こまつひよ)。
バイト漬けな毎日に唯一癒しをくれるひよちゃんは、最近恋人ができた。