幼馴染くんの好きな人は私でした。
私の好きな人は幼馴染くんでした
「ただいま」
「おかえり、ただいま」
「うん、おかえり」
一日中一緒にいられる時間は今日で終わりだから。きっと今日が一番日比人を好きだ。
今日、日比人に言いたい。
「恋人って名前の関係になったら…どうなるの?どう、変わるの?」
「はな?」
「ひびのこと、独り占めできる?」
「…うん、できるよ。花のことも俺が独り占めする。きっと俺しか見えなくなる」
こんなこと言うなんて、好きって伝えているようなもの。
好き、って口を開こうとするのよりも早く日比人に抱きしめられて、後ろにはリビングの壁。
手をゆるめてから日比人を見上げると、目が潤んでいて私も移ってしまう。
こんなに私のこと想ってくれてたなんて、知らなかった。
「好きってこと?」
「…好き、です」
「そう」
「っわ、まって…!」
三度目のキスが一番幸せだった。…のも束の間で。
「ただいまー!」
狙ったかのように母の声がリビングに響く。