幼馴染くんの好きな人は私でした。
我に返ったように日比人が離れると、何故かボタンがひとつ開いていることに気づいた。
「ひ、ひびこれっ」
「あー…いっこで我慢した」
「ばか!」
今日はカレーだよ、と日比人に向けてニコニコ言う母。
心臓を鳴り止ませるのに必死だし、カレーだって私に言ってくれてもいいじゃない、とも思うし。
「和保さん」
「ん?どうしたの?」
「花、俺の事好きだって」
…なんて?今、なんて?
楽しそうにお母さんが喜ぶ姿を横目に彼に文句を言おうと口を開くけれど、それは未遂に終わる。
「ほらほら二人でいなさいよ、花の部屋にでもいなさい。ご飯出来たら呼ぶから!」
強引な二人にされるがままの私は、日比人にそのまま肩を掴まれて、されるがまま階段へと足を進めた。
カチャン
…し、静かすぎる。
跳ね続ける心臓をおさえようとしても、日比人は関係ないというようにすぐに私を抱きしめる。
「…ひび、くるしい」
「許して」