幼馴染くんの好きな人は私でした。
今は、悲しくも苦しくもないのかな。
それならいっか。苦しいのも嬉しい。もっともっとくっついても平気。
力いっぱいに日比人を抱きしめ返すと、変に体がぐらつく。
「ひび!?」
結果落ちたのはポケットに入っていたスマホだけで、さすがに倒れはしなかった。
なんだろう?
落ちた拍子に明るくなるスマホ画面には、なにかの写真。
この前まで初期設定のままだったのに、と興味で覗き込む。
「…あ、まず」
「……な、な、なにこれ」
画面越しで笑う女の子は私で間違いない。
なんで日比人が持ってるの…!?
一緒にお花見に行った時に撮ったもので、落ちていた桜を手のひらに乗せている写真。
これを撮ってくれたの、ひよちゃんなのに。
『―――あ、二人ともお疲れ様!そんなに仲良く何話してるの〜?』
『…いや』
『…それより花ちゃん!あのね―――』
あれは、私の話?じゃあひよちゃんは…
「ひよちゃんも知ってるの!?」
「…ん」