幼馴染くんの好きな人は私でした。
like or love
「ただいまー…」
「おかえり」
靴を脱いでいる時に返ってきた声は母のものではなくて、肩をビク、と揺らしたあと正面を見上げる。
「なに?」
そこに立っていたのは日比人で、肩にはタオル、ブラウン髪が濡れて黒色に見える。
いつもなら「男の子の短い髪だったらハンドタオルで済むのにな〜」なんて何気ないことを話していたはずなのに。
「…じゃ、じゃあ、部屋にいるね」
返事は待たずに二階へとあがる。そういえばお母さんはどこに行ったんだろう?と疑問を持ったのは扉を閉めてすぐのこと。
母のことも、髪が濡れていたことも聞かずに部屋に閉じこもるなんて、おかしいと思う。
なら当然、日比人だって…
コンコン
「開けて花」
「今はちょっと…」
「花、避けてんの?俺が男だって初めて知ったの?
なに、幼馴染として見れなくなったってこと?」
「避けてない!幼馴染ってことは一生変わらないし!」
挑発に似た言葉が扉越しに聞こえてくるから、負けじと否定の言葉を返す。