ハライヤ!
まずいです! このままでは葉月君が!
私は焦りながら、腕を構える。

葉月君が撃たないのなら、私が撃ちます。
けど、今から間に合うでしょうか? 

指先に霊力をためても、首無しライダーの方が早い。

ダメ、間に合わない! だけどその時、葉月君が動いた。

「天に星、土に命、還りたまえーー滅!」
「ギャアァァァァッ!?」

だらんと下げていた腕を上げたと思ったら、間髪入れずに霊力の弾が放たれた。

その早業に対応できなかった首無しライダーは避けることができずに、声を上げながら大きくふっ飛びました。

すごい。
直前まで全く構えていなかったのに、あんなに早く攻撃できるなんて。

「よし、命中! トモ、今のうちに浄化しちゃって!」

葉月君が叫んでいますけど、私は横転した首無しライダーを見ながら、言葉を失う。 
あっさりやってのけたように見えますけど、簡単なことではありません。

今だから分かりますけど、葉月君が中々攻撃しなかったのは、確実に当てるために首なしライダーを引き付けていたのでしょう。
ただし動くのが遅れたら、そのままバイクと衝突してもおかしくありません。
よほど肝が座っていないとできませんよ。
しばらく会っていない間に、どれだけ成長してるんですか?

「トモ。トーモ、話聞いてる?」
「は、はい! ええと、浄化ですね。迷う者、荒ぶる魂、鎮まりたまえ――浄!」

首無しライダーに向けて手をかざし、浄化を開始する。
手から放たれる光が、闇を照らし、首無しライダーの姿を包み込む。

「アウゥゥゥゥ……」

弱々しい声をあげる、首無しライダー。その姿は徐々に薄れていき、最後には跡形も無く消え去りました。

浄化完了です。

「やったね。さすがトモ、相変わらず浄化の腕はピカ一だ。ひょっとしたらもう、おい越されちゃってるかも?」
「それは……どうでしょう」

さっきの戦いぶりを見ていると、とてもそうとは思えません。
むしろ余計、差をつけられてしまったような。

昼間の話では、向こうでは遊んでばかりいたって言っていましたけど、とてもそうとは思えません。

ひょっとして、遊んでたなんて嘘? 
けど葉月君はテスト前に勉強してるのに、全然やってないって言うタイプじゃありませんし……。

「どうしたの、難しい顔して?」
「何でもありません。お祓いも終わりましたし、帰りましょう」
「リョーカイ」

スッキリしない、モヤモヤとした気持ちを抱えながら、私達は元来た道を帰っていくのでした。
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