ハライヤ!
首をかしげていると、丁度コンビニから、袋を抱えた葉月君が出てきました。

「師匠に報告はすんだ? って、なんだか難しい顔してない?」
「悟里さんの言っていることはよく分かりませんでしたけど。とりあえず、葉月君が格好付けたがりだってことだけは分かりました」
「いったい何の話をしてたの? まあいいや、それより寒いから、肉まん食べて温まりなよ」

袋から出した熱々の肉まんを受け取ると、冷えていた指先がじんわりと温まってきます。
体が冷えていたので、これはありがたいです。

「……普段はガサツなのに、時々優しいのも相変わらずなんですね」
「なに、俺褒められたの? それともディスられてるの?」
「知りません。でも、肉まんはありがとうございます……んぐっ⁉」

一口かじって、目を丸くしました。口の中に広がるのは、肉汁ではありません。
口から鼻へと抜けていく独特な香り。これは。

「げほっ、げほっ。ど、どうしてチーズが入ってるんですかー⁉」
「あ、ごめん間違えた。そっちは俺用に買ってたチーズまんだった」

苦手なチーズにかじりついてしまい、目を白黒させながらむせかえる。

間違えたですみますか。
私がチーズ苦手だって、知っていますよね⁉

「せっかく見直したのに、ひどいです。やっぱり葉月君のこと嫌いです。大嫌いです!」
「だからゴメンってばー!」

まるで叱られた子犬みたいに、しょんぼりする葉月君。

何を考えているか分からなくて、苦手なチーズを食べさせてくる。
腕が立つのは認めますけど、こんな彼と組んで、私はこの先やっていけるでしょうか?
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