ハライヤ!
いきいきと喋る葉月君とは逆に、松木さん達は早く話を終わらせたい様子。
当たり前です。
今の葉月君は、まるでオカルトマニア。心霊スポットだの呪文詠唱だのを大真面目に語られても、普通なら困りますよね。
嫌な例えですが、漫画を読むのは好きなくせに漫画を描いている人のことをバカにする人と、似たようなものでしょうか。
自分達だって面白半分で呪いをかけたのに、本気のトーンでオカルトについて語る葉月君には、ついていけない様子。
ドン引きしているのが丸分かりですよ。
葉月君だって、それくらい気付いているでしょうに。
たまらなくなった私は、ずかずかと彼に歩みよる。
「葉月君! いったい何の話をしてるんですか!」
「あ、トモ。おはよう。今松木さん達と、心霊スポットに行かないかって話を……」
「そんな話は今すぐ止めて、こっちに来てください!」
普段学校では絶対に出さない大声をあげて、葉月君を引っ張って行く。
こんなことをして、また松木さんたちに目をつけられないかって? たぶん大丈夫です。
だって彼女達、解放されてホッとした顔してましたもの。
それどころか、早くそいつをどこかへ連れて行けって、目で訴えかけています。
「……葉月君をお借りしますけど、いいですよね?」
「構わないから、さっさと連れてっちゃってよ」
少しは嫌な顔をされるかとも思ったけど、以外とあっさり。
まるで厄介払いをするかのような態度じゃないですか。
むう、なんて勝手な。
少し前まであんなにご執心で、私に呪いまでかけたというのに。
百年の恋も、冷めるのは一瞬というわけですか。
そんな松木さんの態度にモヤッとしましたけど、これはこれで好都合。
遠慮無く葉月君を廊下に連れ出すと、彼に問い詰めます。
「今話してたのって、祓い屋のお仕事のことですよね。いったい何を考えているんですか⁉」
「別に良いじゃん。祓い屋は秘密の組織ってわけじゃないし、別に喋っても何のペナルティもないじゃない。トモだって、椎名さんとは話してるじゃん」
確かに彼の言う通り、祓い屋の活動は誰かに話しちゃいけないなんて決まりはありません。
けど普通は話したところで本気にされずに、痛い人って思われてしまうことがほとんど。
術の詠唱とか、中二病もいいとこですよ。
「椎名さんは怪異に遭遇した経験があるから、話が通じるんです。普通の人に話したらどんな反応をするか、わからないわけじゃないですよね?」
「そうだね、松木さんたち困ってた。けど、別に良いじゃん。これで引かれて縁が切れるなら、所詮それまでだったってことだよ。それよりも……」
急に声のトーンが変わったかと思うと、いきなり両肩に手を置いてきました。
きゃ! な、なんですか?
そんな風に見つめられると、心臓が変にドキドキするのですが。
「俺は、トモと一緒がいい。祓い屋をやってるのは本当なのに、その事を話して引くような人と無理して仲良くしたって、つまんないじゃん。それよりは好きな子と、一緒にいたいよ」
「す、好きな子って……」
「俺はトモのこと好きだよ。昔からね」
「―—っ⁉」
いきなりの発言に。頭が爆発しそうになる。
ちょ、ちょっと待ってください。い、いったん落ち着きましょう。
きっと彼の言う好きは友達として、仲間としての『好き』。そのはずです!
「は、葉月君が仲間思いなのはよーく分かりました。で、ですかそれとさっきの話と、いったいどういう関係が……」
「大有りだよ。おかげで松木さん達は、俺に興味を失くしただろうからね。これでもう、トモに意地悪する理由もなくなるでしょ」
「えっ……?」
ニコリと笑う葉月君を見て、言葉を失う。
……ああ、そういうことですか。
当たり前です。
今の葉月君は、まるでオカルトマニア。心霊スポットだの呪文詠唱だのを大真面目に語られても、普通なら困りますよね。
嫌な例えですが、漫画を読むのは好きなくせに漫画を描いている人のことをバカにする人と、似たようなものでしょうか。
自分達だって面白半分で呪いをかけたのに、本気のトーンでオカルトについて語る葉月君には、ついていけない様子。
ドン引きしているのが丸分かりですよ。
葉月君だって、それくらい気付いているでしょうに。
たまらなくなった私は、ずかずかと彼に歩みよる。
「葉月君! いったい何の話をしてるんですか!」
「あ、トモ。おはよう。今松木さん達と、心霊スポットに行かないかって話を……」
「そんな話は今すぐ止めて、こっちに来てください!」
普段学校では絶対に出さない大声をあげて、葉月君を引っ張って行く。
こんなことをして、また松木さんたちに目をつけられないかって? たぶん大丈夫です。
だって彼女達、解放されてホッとした顔してましたもの。
それどころか、早くそいつをどこかへ連れて行けって、目で訴えかけています。
「……葉月君をお借りしますけど、いいですよね?」
「構わないから、さっさと連れてっちゃってよ」
少しは嫌な顔をされるかとも思ったけど、以外とあっさり。
まるで厄介払いをするかのような態度じゃないですか。
むう、なんて勝手な。
少し前まであんなにご執心で、私に呪いまでかけたというのに。
百年の恋も、冷めるのは一瞬というわけですか。
そんな松木さんの態度にモヤッとしましたけど、これはこれで好都合。
遠慮無く葉月君を廊下に連れ出すと、彼に問い詰めます。
「今話してたのって、祓い屋のお仕事のことですよね。いったい何を考えているんですか⁉」
「別に良いじゃん。祓い屋は秘密の組織ってわけじゃないし、別に喋っても何のペナルティもないじゃない。トモだって、椎名さんとは話してるじゃん」
確かに彼の言う通り、祓い屋の活動は誰かに話しちゃいけないなんて決まりはありません。
けど普通は話したところで本気にされずに、痛い人って思われてしまうことがほとんど。
術の詠唱とか、中二病もいいとこですよ。
「椎名さんは怪異に遭遇した経験があるから、話が通じるんです。普通の人に話したらどんな反応をするか、わからないわけじゃないですよね?」
「そうだね、松木さんたち困ってた。けど、別に良いじゃん。これで引かれて縁が切れるなら、所詮それまでだったってことだよ。それよりも……」
急に声のトーンが変わったかと思うと、いきなり両肩に手を置いてきました。
きゃ! な、なんですか?
そんな風に見つめられると、心臓が変にドキドキするのですが。
「俺は、トモと一緒がいい。祓い屋をやってるのは本当なのに、その事を話して引くような人と無理して仲良くしたって、つまんないじゃん。それよりは好きな子と、一緒にいたいよ」
「す、好きな子って……」
「俺はトモのこと好きだよ。昔からね」
「―—っ⁉」
いきなりの発言に。頭が爆発しそうになる。
ちょ、ちょっと待ってください。い、いったん落ち着きましょう。
きっと彼の言う好きは友達として、仲間としての『好き』。そのはずです!
「は、葉月君が仲間思いなのはよーく分かりました。で、ですかそれとさっきの話と、いったいどういう関係が……」
「大有りだよ。おかげで松木さん達は、俺に興味を失くしただろうからね。これでもう、トモに意地悪する理由もなくなるでしょ」
「えっ……?」
ニコリと笑う葉月君を見て、言葉を失う。
……ああ、そういうことですか。