甘いお菓子のように
「おはようございまーす!」
挨拶をして、席に着くとまもなくして朝礼ミーティングが始まり「そろそろ、夏アニメが始まるから記事をアップ(公開)するように」と上司からの指示が終わるとそれぞれが着席した。
「中島さん、先日お願いした夏アニメの管理表を開いてくれるかしら」
紅子さんに急に声をかけられたので慌てながらスプレッドシートを開いた。
「右にスクロールすると配信サービスが載っているから。中島さんにやってほしいのは夏アニメの公式サイトにあるON AIR(放送情報)を見てもらってそこにある配信サービスには『見放題』ない場合には『X』と表に入力すること」
「なるほど・・・」
「ちなみに配信サービスが一つの場合は『独占』、開始日が早い場合は『先行』と入力してもらえますか?」
「はい、分かりました」
わたしは、さっそく夏アニメの公式サイトを開き、ON AIRに書かれた配信サービスをチェックした。
「U-BACKが先行、qアニメは見放題・・・あれ?」
「どうかしましたか?」
「このmuzik.jpは?
「ごめんなさい、説明忘れてました。muzik.jpとクランクアップビデオは『有料』と入力してください」
「分かりました」
すると、紅子さんは突然立ち上がり「二階堂さん」と声をかけた。
わたしは急に二階堂さんの名前が出てきたので、おもわずドキッとした。
紅子さんは移動すると二階堂さんに近づき、何かを話しかけているようだった。
わたしは様子が気になって二人を見ていたのだが、上司に「どうした?」という顔をされたのでわたしは視線をパソコン画面に戻した。
まもなくして、紅子さんが席に戻ってきたため、わたしは堪えられなくなって彼女に聞いてしまった。
「あの、何かあったんですか?」
「いえ、別に。大したことないんで」
「でも、気になります」
すると彼女は少しため息をつくと「仕事とは関係ないので」と答えた。
なおさら気になるわ!と思いながら、何かを訴えかけるような目でわたしが彼女を見つめたので紅子さんは諦めて話し始めた。
「この前の新入生歓迎会のときに『日曜日、食事に行かないか』と誘われたんです。けど、用事ができたので断ってきました」
「はぁ・・・なるほど」
「だから、安心してくださいね」
とわたしを気遣うような言葉を言ったあと、何事もなかったかのようにパソコンの方に視線を戻した。
紅子さんの対応にどう反応していいか分からなかった。
二階堂さんという素敵な人に思われていながら、どうしてこうも余裕でいられるんだろうと思った。
わたしだったら二階堂さんに誘われたらぜったい食事に行くのに。
どんな予定が後からできようと全部キャンセルするのに。
それくらいわたしだったら二階堂さんを大切にできるのに。
なんだよ、用事って。
二階堂さんよりも大切な用事ってなんだよ。
だけど、あんなに素敵な男性に好意を抱かれても堂々と自分の意思を貫いている紅子さんを格好いいとも思った。
そして、彼女が二階堂さんに振り向かない限り、わたしにはまだチャンスがあると思って少なからず安心した。
挨拶をして、席に着くとまもなくして朝礼ミーティングが始まり「そろそろ、夏アニメが始まるから記事をアップ(公開)するように」と上司からの指示が終わるとそれぞれが着席した。
「中島さん、先日お願いした夏アニメの管理表を開いてくれるかしら」
紅子さんに急に声をかけられたので慌てながらスプレッドシートを開いた。
「右にスクロールすると配信サービスが載っているから。中島さんにやってほしいのは夏アニメの公式サイトにあるON AIR(放送情報)を見てもらってそこにある配信サービスには『見放題』ない場合には『X』と表に入力すること」
「なるほど・・・」
「ちなみに配信サービスが一つの場合は『独占』、開始日が早い場合は『先行』と入力してもらえますか?」
「はい、分かりました」
わたしは、さっそく夏アニメの公式サイトを開き、ON AIRに書かれた配信サービスをチェックした。
「U-BACKが先行、qアニメは見放題・・・あれ?」
「どうかしましたか?」
「このmuzik.jpは?
「ごめんなさい、説明忘れてました。muzik.jpとクランクアップビデオは『有料』と入力してください」
「分かりました」
すると、紅子さんは突然立ち上がり「二階堂さん」と声をかけた。
わたしは急に二階堂さんの名前が出てきたので、おもわずドキッとした。
紅子さんは移動すると二階堂さんに近づき、何かを話しかけているようだった。
わたしは様子が気になって二人を見ていたのだが、上司に「どうした?」という顔をされたのでわたしは視線をパソコン画面に戻した。
まもなくして、紅子さんが席に戻ってきたため、わたしは堪えられなくなって彼女に聞いてしまった。
「あの、何かあったんですか?」
「いえ、別に。大したことないんで」
「でも、気になります」
すると彼女は少しため息をつくと「仕事とは関係ないので」と答えた。
なおさら気になるわ!と思いながら、何かを訴えかけるような目でわたしが彼女を見つめたので紅子さんは諦めて話し始めた。
「この前の新入生歓迎会のときに『日曜日、食事に行かないか』と誘われたんです。けど、用事ができたので断ってきました」
「はぁ・・・なるほど」
「だから、安心してくださいね」
とわたしを気遣うような言葉を言ったあと、何事もなかったかのようにパソコンの方に視線を戻した。
紅子さんの対応にどう反応していいか分からなかった。
二階堂さんという素敵な人に思われていながら、どうしてこうも余裕でいられるんだろうと思った。
わたしだったら二階堂さんに誘われたらぜったい食事に行くのに。
どんな予定が後からできようと全部キャンセルするのに。
それくらいわたしだったら二階堂さんを大切にできるのに。
なんだよ、用事って。
二階堂さんよりも大切な用事ってなんだよ。
だけど、あんなに素敵な男性に好意を抱かれても堂々と自分の意思を貫いている紅子さんを格好いいとも思った。
そして、彼女が二階堂さんに振り向かない限り、わたしにはまだチャンスがあると思って少なからず安心した。