甘いお菓子のように

3

店内に入ると「いらっしゃい!」という明るいおじさんの声が聞こえた。

「2名かい?」

「はい!」

「空いてるところ適当に座って!」

とかなり雑な接客であった。

店内も黒ずんだメニューが壁に掛けられていたり、傷んだテーブルや椅子を見た感じ、あまりお金を掛けてない店なんだなぁと思った。「ま、ここに座るか!」

高山くんに言われるまま、わたしたちは向かい合って座った。

紙が薄汚れ、少し破れかかったメニューを見ながら適当につまみやらアルコールを注文した。

店の中をじろじろと見ているわたしが気になったのか「店内はあんま綺麗じゃないけど、安くて美味いから好きなんだよ」と彼が言った。

なので、「そうなんだぁ」とわたしは答えた。

しばらくして、先にお酒が来たので、わたしたちは乾杯した。

「「お疲れ!」」

ジョッキが二つ、重いガラスがぶつかる音が聞こえた。

「いやぁ〜お疲れ!今週も忙しかったなぁ」

「そうだね!」

「漫画セクションの方はどうだよ?慣れたか〜?」

「いやぁ、マンガアプリの数が多くて調べるのに時間がかかちゃって大変だったよ」

「だよなぁ。でも、好きな漫画がこのアプリだと読めるんだ〜とか知るの嬉しくないか?」

「うん、そうだね!」

「まぁ、仕事の話はやめよう!」

そう言って、彼がまたグビッとビールを飲んだ。

「ってか、彼氏いつからいないの?」

「半年前からだよ」

「へぇ、だいぶ経つじゃん!恋人探しとかしないの?」

「う〜ん・・・友達に街コンとか誘われて行くけどなかなかねぇ」

「へぇ、そうなんだぁ」

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