甘いお菓子のように

5

次の日の朝、起きて彼に「おはよう」と声をかけた。

彼はまだ眠かったのか、眩しそうに目を擦りながら「・・・はよ」と答えた。

その仕草が可愛くて抱きしめたくなる衝動にかられた。

彼が起き上がってあくびをしたので、わたしは、その後ろ姿に向かって何気なく「わたしたちって付き合ったってことかな?」と聞いてみた。

すると

「え、俺、彼女いるけど?」

そのひとことでわたしの幸せな気持ちは一気に地獄へと急降下し、わたしの心はズタズタに引きちぎられた。

「な・・・なにそれ」

あまりのショックに声を出すのも必死だった。

「彼女いるって・・・聞いてないんだけど・・・」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「知らないよ」

「そっか。ごめん」

「なんで・・・わたしを抱いたの?」

「やりたかったから」

「え?」

「中島可愛かったし、なんかやりたいな〜って思って」

「え?それだけ」

「うん、まぁ・・・」

彼女さんとは別れないの?とか、そんなことを聞こうとしてやめた。

彼が彼女よりもわたしを選びそうにないことくらい分かってたから。

わたしが言葉に困っていると

「もちろん、誰でもいいわけじゃないよ!中島だから抱きたいって思ったんだよ」

そんなこと言われても嬉しいわけがない。

わたしは、ただの『遊び』として利用されたに過ぎない。

「そ・・・」
< 25 / 60 >

この作品をシェア

pagetop