甘いお菓子のように

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「アニメ部門に配属されました中島里美です。一生懸命がんばりますのでよろしくお願いします!」

結局、歓迎会でも気の利いたセリフが言えなかった。

けど、職場の人たちはみんないい人ばかりなので「いいぞー!新入社員!」とか「かわいいよー!」とか言って場を盛り上げてくれた。

そして、わたしの隣にいるのが漫画部門に配属された高山健斗20歳。

「僕は漫画が昔から好きなので第一希望の会社に入社できて光栄です!まだ、不慣れではありますがよろしくお願いします!」

今流行の黒髪マッシュに輝く笑顔。

ちょっと彼のことも気になってしまった。

気づいたら、いつのまにか高山くんが隣に座っていて話しかけてきた。

「ねぇ、中島さんも同じ新卒だよね?仲良くしよう」

「うん、もちろん!漫画が好きなんだね!何が好きなの?」

「結構あるよ!ヒーローマカダミアナッツとか」

「あーそれ見たことないから全然分からない」

「マジで?めっちゃ面白いからおすすめだよ!」

そんな感じで話が弾んだ。

「中島さんはアニメ好きなの?」

「うーん、どうだろう。ほのぼの系とか好きかも」

「たとえば?」

「地味子と恐竜とか」

「何それ?」

「なんか、車酔いした地味子が勢いで恐竜をお持ち帰りする話」

「なんだそれ笑 恋愛系とかじゃないんだね」

「そうだね」

するとだんだんと酔いも混じり、気づけばわたしたちの距離は近くなっていた。

そしたら、話す内容もだんだん変わってきてお互いが積極的になっていくのを感じた。

「ってか、中島さんってよく見たらかわいいよね〜。彼氏いないの?」

「いないよ〜。ってか、高山くんもかっこういいよ」

「マジでやったね!じゃぁさ、今度食事でもいかない?」

「うん、いいよ」

そんな会話をしてるときにわたしたちの後ろから「遅れてすいません!」と二階堂さんが来るのが見えた。

「わっ!二階堂さんだ!」と思い、緊張して思わず高山くんから離れた。

「いや〜待ってたよ!ちゃんと新入社員にも挨拶して」と上司に言われると二階堂さんはわたしたちの方を見て「遅くなってごめん!映画部門で働く二階堂です。今日は楽しんでね」と声をかけた。

「は、はい。ありがとうございます」

やっぱり、超格好いいと二階堂さんの笑顔に引き込まれてしまった。

そのことに気づいたのかどうなのか分からないが、高山くんは面白くなさそうな表情を浮かべていた。

「ところでさ、紅子さんってどこにいるか分かる?」

「え?」

突然、思ってもなかったことを聞かれて一瞬わたしはきょとんとしてしまった。

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