甘いお菓子のように
「あ、えっと・・・」

そう言って紅子さんの姿を探していると

「あーいたいた!あそこだ!ありがとう」と言って二階堂さんはすぐに行ってしまった。

「あーもっと話したかったのに」と思っていると「何、見惚れてんだよ」と隣にいる高山くんに呆れ顔で言われた。

「別に見惚れてたわけじゃ・・・」

「分かりやすい」

図星を突かれて黙っていると「紅子さん狙いだから相手にされてないよ」と嫌みを言われた。

「ちょっと何言ってんよ!それに紅子さんだってとっくに結婚してるでしょう」と言い返すと「え?知らないの?紅子さん独身だよ」と言ってきた。

「え!マジ?」

「しかも、彼氏なし」

「えーなんで知ってるの?」

「そりゃぁ、大半の男性は紅子さんに興味があるんだから調査済みだよ。ちなみに俺も密かに憧れてるし」

「えーー!そうなの?」

「年上の綺麗なお姉さんが好きだからね。まぁ、年齢が離れすぎてるから付き合いたいとかはないけど、遊ばれたいとかは思ってる」

「そうなんだぁ・・・」と言うとなんかしょげてしまった。

「何、焼きもち?」と高山くんはからかってきたけどわたしは「そんなことないよ!」と言い返した。

けど、じぶんでもよく分からなかった。

というのも、わたしはまだ高山くんのことを分かってないし、
強いて言うなら二階堂さんの方が気になってるから。

けど、そんな二人からも魅力的に思われてる紅子さんがなんか「ずるい」と思ってしまった。

二人だけじゃない。

職場のほとんどの男性が紅子さんを魅力的に思い、狙っている。

なのに、彼女は涼しげな顔をして誰にもこびない。

その強さが格好いいと思う反面、わたしには真似できないと思うから羨ましいとか憧れを感じてしまうのだろう。

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