甘いお菓子のように

5

歓送迎会も終わり、居酒屋から出てきた人たちで入り口前がごった返していた。

そのとき、酔っぱらった別の会社の人たちがうちの会社の女性社員たちに声をかけていた。

「ねぇ、君たちかわいいね〜。このあと、飲みに行かな〜い?」

声をかけられて、最初戸惑っていた女性陣だったが、他社の男性陣の中に格好いい人がいると分かると「え〜行きます〜」と声色を変えた。

「ねぇ、中島ちゃんも行くでしょ?」と声をかけてきたのは3つ年上の増田さんだった。

「えっとどうしようかなぁ。でも、増田さん彼氏がいるんじゃ・・・」

「そうなのは今はどうでもいいよ!たまには別の会社の人たちとも交流を深めなくちゃ!」

「そ、そうですか・・・」

行くかどうしようか迷っているとわたしたちの横を「お疲れ様」と言って紅子さんが通り過ぎた。

それに気づいた他社の男性が「え、君、めっちゃ綺麗じゃん!俺たちと飲みに行きましょうよ」と誘うと「悪いけど興味ありませんので」と紅子さんは冷たくあしらって行ってしまった。

あまりの素っ気なさにわたしたちがびっくりして唖然としてるとその男性は「ま、旦那さんでもいるのかな」とじぶんを励ますように場をなごますように軽口を叩いて、その場をおさめた。

「あ、やっぱりわたしも帰ります!!」

そう言ってわたしは紅子さんの後を駆け足で追った。

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