エデンの彼方でいつかまた
久しぶりの外出。

買い物は極力ネットで、外出も人目を避けた夜が多かった瑞希には太陽が眩しく、何度か目眩に見舞われる。

突然その腕から、ブレスレットが落ちた。
経年劣化のため留め金が甘くなっているのだ。

「あっ、また落ちちゃった」

慌ててそれを拾いあげると、手で土汚れを払う。
皮製とシルバーを組み合わせた、ブレスレット。

瑞希の持ち物になってから十一年の年月が経過しており、その分の汚れもあるがそれ以上にレザー独特の経年変化で、味のある逸品になっていた。

頑丈で糸のほつれもなく大切に使っていたのだが、留め金の部分だけが具合がおかしい。

元々メンズサイズで手首回りが大きく、留め金を外さないままの着脱を長年繰り返していたので、そのことが原因かもしれない。

彼女の思い出のブレスレットであり、これをくれた人物を未だに想い続けている。

なんとか自分で直したいと思っているのだが部品がなく、騙し騙し身につけていた。

再び大事にそれを腕につけると、歩きながら幼い日を思い出していた。
< 3 / 33 >

この作品をシェア

pagetop